湿度を極める!・・・毛髪式自記記録計のお話し

最近、毛髪式自記記録計についてご質問をされたので、

ここで少しお話しをさせていただきます。

この毛髪式自記記録計は湿度-測定方法(JIS Z 8806)では、

毛髪湿度計という名称になっています。

1783年にスイスのソーシュル氏によって発明されたのですから、

現役の湿度計とすれば最古に分類されます。

アスマン通風式湿度計は1880年なのでちょっと驚いてしまいますね。

 

毛髪式自記記録計の原理は毛髪の湿度による伸縮と連動し・・・

ドラム状になった記録紙上を指針の先のペンによって記録を行ないます。

同時にバイメタル等で同様に温度を記録する機能をもち、

一般的には自記二段記録計と呼ばれています。(温度と湿度で二段、自分で記録するから自記)

注意点は以下の通り。

・毛髪が汚れていると指示のくるいが生じる。
・低湿度での長時間放置は避ける。
・30%RH以下で正確な湿度測定は困難である。
・風圧がかかると指示に狂いが生じる。
・60℃以上での使用は避ける。
・有機溶剤が存在する雰囲気では使用できない。
・校正は、標準湿度計との比較により調整を行なう。

「校正は標準湿度計との比較により調整を行なう」とされているので、

定期メンテナンスが必要なのであります。

さらにメーカーによっては試験成績書や気象庁検定付きなどがありますが、

発送に宅急便を使うと振動で目盛りが当然狂う可能性があり、

力学的な湿度計なので疑問が残ります。

 

写真:アムステルダム国立美術館(蘭: Rijksmuseum Amsterdam)

 

日本では美術館や倉庫等の管理用として数多く販売されている毛髪式自記記録計。

なぜ、電子式湿度センサを使用した記録計に変わらないのでしょうか。

その理由としては紙を使った記録計の衰退とデータロガの普及と関係があります。

機構が機械的な毛髪式自記記録計は安価で製作できますが、

センサと紙を使った記録計との組み合わせはコスト高・・・

したがって最近は小型ロガに切り替わっているのですが、

記録紙に残るというのは改竄が出来にくいため好む方がいるのですね。

 

有名なレンブラント・『夜警』(1642)

海外の絵画の多くはそのまま展示されています。(盗難や事故があったものは別)

美術館をまわるとちょっと驚きます。

海外の美術館は歴史ある建物で大きく広いため環境変動も少ないのでしょうか。

 

それに対し日本ではケースに入れられる場合が多くあります。

それの考察が次のグラフです。

 

左が電子式湿度センサを使って計測をした例と、

右が毛髪式自記記録計を使って計測した例。

昔、ゴッホのひまわりが日本に来たときに計った時・・・

このような感じになったのですね。

毛髪式自記記録計は応答性や感度が悪いために、

絵画にとって非常に良いデータが取れています。

しかしながら日本の美術館の多くは空間が狭く、

空調機が常時制御している状態が多いのです。

当時は20分から30分の間隔で温湿度が変化しておりました。

これにより湿度衝撃という現象が起こり、

絵画自体に短期の延び縮みが起こるため劣化が促進します。

これを防ぐためにアクリル等のカバーを空調干渉、

紫外線カットを目的として設置するのです。

どちらにしろ毛髪式自記記録計を単独で使うのにはリスクを生じます。

 

ちなみに相対湿度の場合・・・

温度が1度上がると湿度は3%下がります。

湿度変化の起因は温度変化が元とも考えられるのですね。

 

少々長くなりましたが、

毛髪式自記記録計の伝説的キーワードについて、

最近、思いついたことを書きます。

「毛髪式自記記録計の毛髪はフランス人の処女の方の毛髪の特性が良い」

僕も長らく湿度に関わって不思議だと思う言葉なのですが、

先日、この世界遺産である富岡製糸所に行って気が付きました。

 

製糸所の中ではお湯を炊き絹糸を取ります。

当然、湿度は高湿になるために上部の建物には、

抜くための特殊な形状の屋根にしているそうです。

明治5年、明治維新直後に明治政府が日本の近代化のために設立した模範器械製糸場です。

あの西郷どんがまだ政府の中核にいるころの話なので驚きます。

この時、日本には製糸に関しての知識が少なく、

招いたのが当時、製糸の先端を行っていたフランスの技師オーギュスト・バスティアンさん。

繭から糸を取る繰糸器もフランスから取り寄せています。

繰糸器の技術には湿度計測が欠かせないため、

フランスで毛髪式自記記録計が進化したのではないのでしょうか?

色々な毛髪を試した結果・・・

「毛髪式自記記録計の毛髪はフランス人・・・」という結論に繋がったと思う次第です。

「エジソンの白熱電球は京都の八幡村にある竹をフィラメントに使った。」これに似ています。

ちなみに現在は馬のしっぽの毛を20~30本束ねていると聞いております。

面白いですね。

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湿度を極める!・・・潜熱についてのあれこれ

夏の暑い日に水を撒くという習慣が昔はありましたね。

エアコンの普及からあまり見られなくなりましたが、

なかなか趣のある風景でありました。

 

この水を撒くという目的ですが・・・

単に冷たい水で道路を冷やすということでは無く、

水が蒸発するときの気化熱により温度が下がるという物理現象を利用しているのです。

暑いと汗をかくことも同じように体温を下げる目的なので、

とても合理的だと思うのです。

 

さて、この潜熱という現象は水に深く関わります。

 

気体、水、氷の状態と熱の種類を表したものがこちらです。

液体から気体、あるいは固体から液体に変化するためには、

外部から熱を加える必要があるのです。

身近な所ですと氷を入れて攪拌する水はほぼ0℃で一定温度を保持するし、

大気圧中で沸騰している水は約100℃を保持します。

こんな感じで熱エネルギーが物質の構造変化に姿を変えるために、

見た目の熱変化を伴わず保持することから・・・

”潜って目に見えない”熱変化という意味で潜熱と呼ぶのですね。

 

温度をゆっくり下げていって正確に温度を測ったグラフがこちら。

0℃のところでちょっと保持することが分かりますね。

 

さて、湿度における潜熱という現象をちょっとご紹介しましょう。

1番よく使う言葉が蒸発潜熱です。

蒸発潜熱とは液体状の物質(水)が気体状の状態(水蒸気)に変化する時に必要な熱を指します。

 

この現象を使って湿度を測定する計測器をアスマン通風乾湿計と呼んでいます。

ドイツ人のアスマンさんが1880年ごろこの素晴らしい発明をしました。

2本の温度計を用意して1本にガーゼを薄く巻きます。

そちらを水で湿らすことで気化熱により温度が低くなるのですね。

この温度は周りの湿度によって差が大きくなったり小さくなるため、

気温を測る温度計との温度差で湿度に換算することが出来るのです。

専門的に書くと・・・Sprungの公式を使用して算出するのであります。

 

詳しくはこちらをご覧下さい。

 

ちょっと悩ましいのですが・・・

この優れたアスマン通風乾湿計で使われているのが水銀温度計。

2013年10月に採択、署名された「水銀に関する水俣条約」により、

今後、水銀添加製品や水銀含有廃棄物の処理が容易にできなくなります。

湿度計測分野では(水銀を含有するタイプの)アスマン式通風乾湿計が本条約の対象となり、

2020年から製造および輸出入が「禁止」されることになるそうです。

これを知ったらアスマンさん驚くでしょうね。

 

相対湿度も絶対湿度も計れる私の1番お薦めの温湿度計がこちら→計測用温湿度センサ

もちろん水銀は使いません。笑

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湿度を極める!・・・湿度校正器「Humi Pump」でおんどとりを校正する

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最近、湿度校正器「Humi Pump」を使っていろいろな温湿度計を校正する事が多いのです。

どの温湿度計が校正できるとか出来ないとかを判断するためなのです。

色々とお客様のお話を聞くとやはりおんどとりを使っている方が多いと実感しますね~。

しかも使っている台数がかなり多い・・・

そんな方のために今回は実際におんどとりを校正した結果を紹介致しましょう。

 

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まずは日本で1番校正に使用されている分流式湿度発生装置を使用し、

精度の高いロトロニック社製温湿度計とおんどとりの温湿度精度を確認します。

分流式湿度発生装置SRHは9割以上の湿度センサメーカーが使っているので安心です。

その時に取った器差表がこちらです。

 

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1番右の露点計がJISで標準湿度計に位置づけされたものです。

おんどとりには2種類あって高精度タイプと標準タイプがあります。

標準タイプは小数点以下が出ないので・・・

器差付けがちょい難しい判断が必要ですね。

ロトロニック社製温湿度計は精度が±0.8%なので器差が少ないです。

さすが長年評価の高い湿度センサの名作であります。

 

私の1番お薦めの温湿度計がこちら→計測用温湿度センサ

ちなみにおんどとりの標準タイプは湿度が高湿になると誤差が増えています。

一応、精度が±5%なのでこれも充分精度範囲に入っているのです。

 

ondotori2
さて、湿度校正器「Humi Pump」の校正風景はこのような感じです。

最近、窓付きの校正袋も開発したので・・・

おんどとりの表示も見やすいです。

これだと3台ぐらいは見えると思います。

おんどとりには延長ケーブルもあるので、

表示部を袋の外に出すと台数は増やせます。

もちろん、もともと高精度タイプはセンサ分離式なので、

こちらは問題なく台数は稼げますね。

 

ondotori4

まずはポンピングを30回を2回行います。

お次に1分ごとに10回ほど追加ポンピングをしてみました。

ここでおんどとりの標準タイプにちょっとした問題が・・・

応答性が8分とあるので・・・

校正時間も8分以上必要です。

さらに本体内部に空間があるのでそこで吸湿されてしまうようです。

湿度30%のグラフを見ると遅れが確認出来ます。

結果からするとロトロニック製温湿度計は1から2番目で・・・

おんどとりの標準タイプは4番目で充分値付けできる感じですね。

(現在は工夫によりポンピング回数は20回で可能になっています)

 

ondotori5
逆に50%のところでは遅れは確認出来ませんでした。

たぶん、ロガの温度が1℃ほど低いので、

その分高く表示している可能性が大です。

まあ・・・精度が±5%なのでこんなものかもしれません。

 

結論でいえばおんどとりも問題なく校正できました。

外部に定期的に温湿度校正に出している方・・・

湿度校正器「Humi Pump」を使うと維持費も安く出来ると思った次第です。

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湿度を極める!その2の1・・・湿度センサの種類と選び方

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湿度計はいろいろな種類があります。

ハンディタイプ、データロガ、変換器等々。

でも、これは湿度をどのように計るか・処理するかの方法の事なんですね。

やはり、一番重要なのは湿度センサなのです。

 

湿度センサにはいくつかの原理があってそれぞれに特長やクセがあります。

もちろん測定データにも影響することだと思います。

ここでその種類を紹介すると共に・・・

湿度計の正しい選び方を紹介しましょう!

 

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湿度センサを大きく分けると高分子抵抗式(左)と高分子静電容量式(右)の2種類に分類されます。

現在、世界的に主流なのは高分子静電容量式になっていますが、

シェアは少しだけ少ないですが高分子抵抗式にも優れた特性があります。

 

共に湿分を吸湿、脱湿する感湿材を使用し、電極間を橋渡ししている構造になっています。

その電気信号を電気抵抗で捉えるのが高分子抵抗式湿度センサ。

その電気信号を電気容量で捉えるのが高分子静電容量式湿度センサなのです。

【電気抵抗式】
・構造が簡単で、大量生産ができ、また、比較的安価である。
・電気抵抗を測定するためにノイズに強い。その為にセンサ部を
小型化する事ができ、センサケーブルも細くすることが可能。
・原理上10~20%以下が測定が出来ない。

【静電容量式】
・応答速度が早い。
・高温・低温度域での使用が可能。
・低湿度測定に優れる。
・静電容量を測定するためノイズに弱い。したがってシールド性が必要で
ケーブルなども太い。

大まかにこんな特長があります。

 

ただし・・・ここに大きな落とし穴があるのです。

基本になるセンサの性能は良くても、

後処理の電気回路のポテンシャルにより性能が決まります。

やはり、同じセンサを使用しても安価なものは低いですし、

高額な物は性能が高いのです。

 

さらに湿度計メーカーが校正に使用する湿度発生装置のグレードにも左右されます。

このアウトドア科学研究所の母体である㈱第一科学は、

国内のほとんどの湿度計メーカーに校正用の湿度発生装置を出荷しているので・・・

それをよく知っているのですね。

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ちょっと話はそれてしまいますが高分子抵抗式湿度センサのお勧めを紹介します。

製造会社は神栄テクノロジー社。

ノイズに強い特性を活かしセンサヘッドも小さくケーブルも柔軟な湿度センサ。

実験などにはとても重宝するので私もよく使います。

これはとても使いやすいので興味ある方はこちらをご覧下さい。

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かなりマニアな話ですが湿度センサだけでなく一緒に搭載されている温度センサも重要です。

こちらは残念なことに廃番になってしまいましたが湿度計の名作TRH-CA。

これも製造会社は神栄テクノロジー社。

左側の写真で白いのが湿度センサで右側の小さな玉が温度センサです。

実はメーカーのこだわりは温度センサーの脚の長さにあるんですね。

温度センサの脚を長くすることで早く空気温度が計測できるノウハウです。

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これはスイスのロトロニック社の温湿度センサ。

私の知る限りでは湿度計では現在1番良いのではないでしょうか・・・

こちらは基板を先端まで伸ばしそこに温度センサを付けています。

これで温度応答性を高める工夫がしてあるのです。

最近のほとんどの湿度計にはこのような工夫がされていないのが実情であります。 (残念

私の1番お勧めの湿度計はこちら!→計測用温湿度センサ

さて、まだあまり知られていない湿度センサがMEMS湿度センサと言われているものです。

まさに画期的な湿度センサなのですね。

感湿部は高分子静電容量式湿度センサですが、

センサだけでなく電気回路も湿度センサチップに搭載されているものです。

ウィキを検索すると・・・

「MEMS/Micro Electro Mechanical Systemsは、
機械要素部品、センサ、 アクチュエータ、電子回路を
一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイスを指す。」

と書いてあります。

 

MEMS湿度センサの特長は・・・

【MEMS湿度センサ】
・出力はデジタル・アナログで湿度値を直接出力
・大きさは2mm~と非常に小さい。
・感湿部が数10μオーダーなので応答性が非常に早い。
・回路が含まれているために使用温度域は広くない。
・大量生産が出来る。

すでに自動車、携帯電話、パソコン周辺機器に組み込まれていますが、

計測器にはこれから期待されるセンサだと思っています。

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湿度を極める!・・・湿度校正器「Humi Pump」を新発売!

HumiPump1

非常に面白い事なのですが・・・

温度・湿度・圧力のセンサを校正する為の「校正器」で、

一番高額なのは湿度なのですね。

もともと飽和塩法と呼ばれる簡易湿度校正器もあったのですが、

いつの間にかOIML(国際法定計量機関)の勧告で削除扱いになりました。

この為に現在一番安価な湿度校正器でも100万円もする状態になったのであります。

 

そこで昨年1年をかけ開発したのがポータブル湿度校正器「Humi Pump」なのです。

開発当初で気象庁さんと産総研さんにヒアリングし・・・

「電気を使えない地域でも校正が出来る湿度校正器が欲しい!」との要望を聞きました。

そこで思いついたのがコロンブス的発想のシリンダを使った体積法。

なんと手動で任意の湿度が発生できるのですよ。

ちなみに発明者は第一科学 温湿度マイスターの私/武田であります。

<(`^´)>エッヘン。

HumiPump0
湿度校正器の構成としては・・・

100%rhの湿度を作る為の飽和槽、0%rhの湿度を作る為の除湿フィルタ。

ある定量を送る為のウェットシリンダ、ある定量を送る為のドライシリンダ。

このウェットシリンダとドライシリンダの押し出し量の比率で湿度が決まります。

角度が付いたハンドル押し下げることで押し出し量が調整できるのです。

 

HumiPump5
上から見た図がこちらです。

ウェットシリンダとドライシリンダの押し出し量の比率を変えるのは、

シリンダの位置を変えることで実現します。

 

送り出す調湿空気を貯めるのが測定チャンバ(Humi Pack)。

これはアルミ蒸着シートで出来ているのですが、

この中に基準の湿度センサと比較したい湿度センサを挿入するのですね。

この袋式チャンバの採用で校正時間も5分程度で可能になりました。

 

HumiPump2
この製品の開発にあたってはいろいろなこだわりがありました。

それをちょっと紹介しますね。

こちらが飽和槽です。

空気を水の中を通すことによって加湿するバブリング方式。

透明な容器なのでなかなか泡が綺麗です。

この容器の高さを決めるのに・・・

3つほど作り直しましたね。

 

HumiPump4
除湿フィルタは空気を乾燥剤に通す為の容器です。

使えば使うほど端からピンクに変色してきます。

赤い線まで来たら中身を取り出し、

ホットプレートなどで水分を飛ばせば再利用可能です。

 

この湿度校正器は使うのは人力に蒸留水。

なんとエコなのでありましょう。

HumiPump3
ハンドルは木製です。

それに焼き印を押しています。

これは昭和のデザインにしたかったこだわりです。

 

見た目はシンプルですが実は細部にこだわっています。

後進国でも自分で修理が出来るようにチューブ・継ぎ手はどこでも手に入るもの。

シリンダのパッキングなどもすぐ交換できるような仕掛けにしています。

設計者は古林隊員でありました。

 

HumiPump6
そうそう、持ち運びを考えているので、

立派な搬送ケースも用意しましたよ。

女性でも肩から下げれるベルト付きです。

お値段は・・・従来の半分の50万円以下。

興味ある方はこちらをご覧下さいませ。

 

昨年より新聞発表や新製品発表会などを展開しておりますが、

とても評判が良かったです。

「こんな簡単な方法・・・なんで誰も思いつかなかったのだろう?」

僕にとってこれが1番の褒め言葉になりましたね!

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湿度を極める!その1の5・・・相対湿度が使われているいくつかの例

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相対湿度で管理している分野で静電気がわかり易いと思います。

左軸の帯電位が大きければ静電破壊が起こる可能性が高いのですね。

ここで下軸の相対湿度によって大きく変わるのがわかるとおもいます。

つまり・・・相対湿度43% rh以下になると帯電位が上がり

深刻な静電気が発生するのです。

いろいろな工場を見て来たのですが、

静電対策に除去マットや静電気除去装置を採用しています。

ところが加湿器などを採用する企業さんは少ない気がするのですよ。

これは・・・大がかりになってしまう背景があるからだと思います。

 

ちなみに湿度が下がるのは基本冬が多いのです。

理由としては上空の寒気団が-40℃だとすると、

その時の湿度は非常に乾燥しています。(霜点温度-40℃以下)

これが地上に降りてくる為だと考えています。

 

seidennki2

研究室や工場などで静電気対策を進める場合、

お勧めなのが部分加湿であります。

発熱部分があると1℃温度が上昇すると湿度が3% rh下がる原理から・・・

局部的に湿度は43% rhを下回る為に静電気発生が起こります。

逆に発熱する部分が分かりその部分だけ加湿してあげれば静電気リスクが下がると言うことですね。

 

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冬と言えばインフルエンザが問題になります。

これがまた相対湿度の管理で対応が出来るのです。

室内環境(湿度と温度)によるインフルエンザウイルスの生存率のグラフです。

これを見ると明らかに高湿の方が生存率が劇的に低くなるのが分かります。

 

ただし・・・温度も高く湿度も高いと低くなることから・・・

絶対湿度でも管理できる気がします。

相対湿度と絶対湿度にはこのような側面もあるんですね。

 

kabi1

カビも相対湿度での関連性が高いものです。

これはかなり古い文献からの引用になっています。

グラフから静電気・ウイルスとは逆に高湿時に発生しやすくなる特性が分かります。

つまり・・・夏場と梅雨場に問題が発生するのです。

アレルギー反応を誘発することから除湿が重要な世界でもあります。

また、目で見える場所だけでなく室内の壁紙の裏側などにも発生する為、

ここは注意が必要ですね。

 

カビ写真引用 食品衛生の窓のHPはこちら

 

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湿度を極める!その1の4・・・相対湿度と絶対湿度はどちらを採用するべきか?

相対湿度と絶対湿度。

このどちらかの単位を仕事に使うことで結果は変わります。

ほとんどの方が相対湿度が気になるとは思うのですが、

産業や工業では絶対湿度の方が重要なのです。

ここで1度・・・湿度の歴史を見てみましょう。

そこに何かヒントがあるかもしれません。

 

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湿度の歴史は古く・・・

紀元前に古代中国で発明されています。

「羽毛と炭を天びんにかけ燥湿の気を知る」となっていますが、

これは「水を弾く羽毛と多孔質構造の炭を天びんにかけ乾燥と湿気の大気を調べる」になりますかね。

 

80年後には土と灰に代わり・・・

1500年後にはイタリアでは海綿に姿を変えています。

 

dabinchi

この方式にはレオナルドダビンチも発明しています。

こちらの絵はアトランティコ手稿より引用しました。

 

ここまではほぼ相対湿度と呼べる湿度計の原点ですが、

1751年ル・ロイにより露点計の原点が発明されています。

絶対湿度はこの時誕生したものと考えても良いかもしれません。

 

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1772年にドイツのランベルトが物質の伸縮式で湿度計を発明しました。

これが現在でも使われている毛髪式自記温湿度計の原点になります。

 

1815年にゲイ・ルサックにより乾湿球による湿度計が発明されています。

これもアスマン通風乾湿計の原点ですね。

 

日本も負けていません。

1871年に清水金左右衛門が物質のねじれを利用した湿度計を発明しています。

これは現在ではバイメタル式湿度計として一番普及しているものです。

不思議なもので・・・ル・ロイの発明した露点計以外がすべて相対湿度計なのですね。

 

私見ですがこの理由として人間が感じる湿度が相対湿度だからだと思います。

人間は発汗するために蒸発潜熱による皮膚表面の温度低下を感じることが出来ます。

これは体の仕組みとして乾湿球による湿度計を持っているとも言えますね。

この為に広く相対湿度が普及したのではないのでしょうか?

 

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相対湿度と絶対湿度はどちらを採用するべきか?

絶対湿度という単位がよく使われるようになったのはつい最近のことです。

絶対湿度は・・・

・単一の物理単位なので国際的なものさしとして使用が出来る。
・比較的高精度・高価な計測器になる。
・絶対値なので生産管理などに効果的。

この他に・・・

・エネルギーなどの熱効率では使用される。
・空気以外のガスなどの水分量も絶対湿度。
・炉のなどで使われる各種化学反応にも応用される。

 

つまり、相対湿度はまさに歴史を感じる単位であり、

絶対湿度は今風のお洒落な現代の単位なんですね(笑

では、どのようにつきあえば良いかは次の記事で紹介いたしましょう。

 

相対湿度も絶対湿度も計れる私の1番お薦めの温湿度計がこちら→計測用温湿度センサ

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湿度を極める!その1の3・・・相対湿度と露点温度の関係とは?

温度と相対湿度から結露をする温度(露点温度)を計算することが出来ます。

基本的に飽和水蒸気圧表から求めるのですが、

今回もバッタさんを使って説明したいと思います。

 

ここで一番重要なことは・・・

温度が変化することが必須となることです。

温度によって水に砂糖が溶ける限界量(飽和)が変わることはご存じですか?

これと同じ現象が空気と湿度でも起こるのです。

 

まずはバッタさん登場!

 

 

この箱の中にバッタさんが50匹おります。

この時の温湿度条件が25℃/50%rhと仮定をすると・・・

箱の中にはまだ50匹のバッタさんを入れることが出来るのですね。

もうこれ以上入らない/相対湿度100%rhの状態の時を飽和状態。

動き回るバッタさんが圧力センサに当たることで生じる圧力を飽和水蒸気圧と呼びます。

 

さて、この箱の温度を下げていくと箱の中に入れるバッタさんの数は減っていきます。

目安としては温度が一度下がる毎に湿度は約3%rh上昇する関係です。(かなり大ざっぱ)

25℃/50%rhの条件時の露点温度は飽和水蒸気圧表から約13.9℃DPなので、

この箱の温度をそこまで下げていくと相対湿度100%rhの状態になります。

 

ここでさらに下げていくとどうなるのでしょうか?

こちらの絵がその状態です。

 

 

箱の中には30匹のバッタさんと水になってしまったバッタさんが20匹。

バッタさんの絶対値は50匹と変わらないのですが、

結露水として箱の中に存在する状態です。

 

同じように25℃/30%rhの条件時の露点温度は飽和水蒸気圧表から・・・

約6.2℃DPとなり箱の温度が6.2℃と推測できます。

この時の飽和水蒸気圧という考えで見てみると・・・

25℃/100%rhの条件時の水蒸気圧は3167Pa

25℃/50%rhの条件時の水蒸気圧は
3167Pa × 0.5=1584Pa

25℃/30%rhの条件時の水蒸気圧は
3167Pa × 0.3=950Pa

となります。

 

ちなみにここからはマニアの方のみ読んでくださいませ。

この時の絶対湿度という考えで見てみると・・・

25℃/100%rhの条件時の絶対湿度は23g/m3

25℃/50%rhの条件時の絶対湿度は
23g/m3 × 0.5=11.5g/m3

25℃/30%rhの条件時の水蒸気圧は
23g/m3 × 0.3=6.9g/m3

となります。

 

絶対湿度は複雑な計算式から求められるのが一般概念ですが、

この絵から想像すると相対湿度との関係も意外と簡単に求められます。

ちなみにバッタさんの体重は0.23g(1匹)ですかね(笑

 

rotenkannzan1

こちらは温度と相対湿度から露点温度を求めた露点温度換算表です。

意外に手に入らない表なのでどうか使ってみてください。

 

縦軸が温度で横軸が相対湿度です。

最近の精度の良い湿度計には露点温度も表示する機能があるので、

使うのであればこのような製品がおすすめです。

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湿度を極める!その1の2・・・相対湿度とは水蒸気圧である!

soutaishitudo

まず、一つの容器をイメージして下さい。

今、この容器の半分の位置まで水が入っているとします。

この状態を相対湿度で表現してみると・・・

この容器の容積を100とした場合、水の占める割合は50・・・

つまり半分となります。

従って、相対湿度は50%rhとなります。

 

 

soutaishitudo11
ここで、この容器に入れられている水を別の容器に移し替えていきます。

はじめの例に従って、各々[A]~[C]の状態を相対湿度で表現してみました。

 

[A]は容器の全体容積100に対し、水の容積は 50… 50%rh

[B]は容器の全体容積100に対し、水の容積は 75… 75%rh

[C]は容器の全体容積100に対し、水の容積は 100…100%rh

 

ここで言う容器、水とは何を表すものでしょうか。

湿度を表現する場合、前に述べたように水蒸気圧と考えます。

ある決められた容器の中の水蒸気圧がどれくらいあるのか、

その水蒸気圧がどの容器の大きさで飽和状態となるのか…ということです。

これが「湿度あれこれ」で述べられている説明文です。

 

相対湿度の計算式は次の通りですが、

U(相対湿度)=e/es × 100

e:水蒸気圧(Pa) es:飽和水蒸気圧(Pa)

単位が圧力なので・・・

水であらわす説明方法では直結しにくいのではないかと思います。

 

そこで新しい表現の絵を描いてみました。

ここでバッタさんが登場します。

 

 

水の分子をバッタさんに例えて説明しましょう。

一つの容器の中にこれ以上バッタさんが入らない状態を飽和と言います。

(砂糖が水にこれ以上溶けない状態を飽和という)

今回は100匹を飽和状態とすると・・・

この状態が湿度100%rhになるわけです。

 

水の分子は活発に飛び回っているので、

同様に圧力センサにバッタさんが衝突し圧力値として指示できます。

この圧力の値は容器内のバッタさんが何匹かで比例するのですね。

 

こちらは50匹の例。

計算式で表すと・・・

50%(相対湿度)=e/es × 100

e:バッタさん50匹の時の圧力指示値
es:飽和状態のバッタさん100匹の時の圧力指示値


こちらは20匹の例。

計算式で表すと・・・

20%(相対湿度)=e/es × 100

e:バッタさん20匹の時の圧力指示値
es:飽和状態のバッタさん100匹の時の圧力指示値

 

なんとなく水蒸気圧力と相対湿度の関係が分かって頂けたでしょうか?

絵で見ると20%はずいぶん少なく感じます。

ちなみに相対湿度は通常%で表します。

他の%と併記して書くときに%rhを使うのが一般的でした。

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湿度を極める!その1の1・・・湿度は奥が深いのだ!

【相対湿度 Relative Humidity】……U
天気予報などで湿度と呼ばれるものは、この相対湿度を意味する場合がほとんどです。
相対湿度とは、ある温度での気体中の水蒸気圧とその気体の飽和水蒸気圧との比を100分率で表します。(飽和水蒸気圧とは…後程出てきます。)単位は、 % を使用します。(他の単位と混合して使用する場合、%RHを使用するときもあります。)

【絶対湿度 Absolute Humidity】……dv
ある温度での気体の単位体積中(1m3)に含まれる水蒸気の質量(g)を表します。単位は、g/m3を使用します。
ただし、空調業界などでは、次の混合比を絶対湿度と呼ぶこともありますのでご注意ください。

【混合比 Humidity Mixing Ratio】……r
水蒸気以外の空気(乾き空気)1kgに対し、何kgの水蒸気が存在するかを表します。
温度、圧力、体積が変化しても水蒸気の量が変化しなければ、この混合比は変わりません。単位はkg/kgを使用します。
空調業界などでは、この混合比の事を絶対湿度とよび、頻繁に使用します。

【飽和水蒸気圧 Pressure of satulated water vapor】……es
気体中に含まれる水蒸気の量には限界があり、これ以上含まれない限界を飽和と呼びます。この時の水蒸気の圧力を飽和水蒸気圧と呼び、この値は、温度、圧力により変化します。
また、0℃以下においては、水と共存する場合、氷と共存する場合により値は異なりますので注意が必要です。

【露点/霜点 Dew Point/Frost point】……td
気体の温度が高ければ高いほど多くの水蒸気を含むことができます。水蒸気を含む気体を冷却していくと、水蒸気の量は変化しませんが、相対湿度(%RH)は上昇し、ある温度において100%RHとなります。
この状態を飽和状態と呼び、この気体においては、これ以上水蒸気を含む余裕がない温度であることを示します。
つまり、これ以上冷却をすすめると、水蒸気の一部が凝縮し、露(水)となり、外部に現われてくるからです。
この温度をその気体における露点温度と呼びます。
当然、水ですので、0℃以下では霜(氷)となって現われてきます。この霜の状態で現われる点を霜点と呼び、露点と区別しています。

 

よく湿度は難しい/奥が深いという言葉を耳にします。

それはどうしてでしょう?

基礎物理単位でよく使うのは℃/Pa/m/Kg等たくさんあるのですが、

どれも基本単独で使える単位であります。

湿度の代表的な種類が上図なのですが、

湿度は単位から見てもたくさんあるのですね。

 

相対湿度 Relative Humidity・・・%
(他の単位と混合して使用する場合、%rhを使用するときもあります。)

絶対湿度 Absolute Humidity・・・g/m3

飽和水蒸気圧 Pressure of satulated water vapor・・・Pa
おっと湿度なのに圧力の単位で表しています。

 

混合比 Humidity Mixing Ratio・・・kg/kg

露点/霜点 Dew Point/Frost point・・・℃

 

今度は質量と温度の単位で湿度を表すのですね。

 

この他にも業界単位で使う変わったものもあるのですが、

湿度の単位は「大気中における」という定義がベースになっています。

ところが最近では不活性ガス中でも水分単位を用いるので・・・

水分>湿度というように広域的な意味合いで水分計測という言葉を使う機会が多くなりました。

 

さて、この地球の大気を分子・原子で表してみましょう。

このキャラクターの漫画を書くために時間がかかりブログ更新が遅れたのですよ(笑

大気中の湿度の割合のイメージ図

大気の成分の大半は窒素ですね。 N→78%

お次は酸素です。 O→21%

その次がアルゴンさん。 Ar→1%弱

水分は0~4%という感じで変動します。

それを100匹に例えて昆虫で表してみました。

 

湿度を足すと100%(100匹)を越えてしまうので・・・

イメージとしては水の分子はその他の分子の隙間に溶け込むような感じで捉えると良いと思います。

これもまた湿度が難解だという「根っこ」になっています。

 

あれ?・・・温暖化が問題の二酸化炭素が抜けています。

実は二酸化炭素の割合は0.04%。

昔は0.02%程度でありました。

当然100匹の絵では描き込むことが出来ません。

10.000匹の絵を描けば4匹書き込むことが出来ます。

この小さな割合の変化が重要な環境問題になるのですから、

地球という惑星はとってもデリケートだと言えるのです。

 

大気中の湿度の割合のイメージ図

さて、もう一度この絵を見てください。

上に圧力計を付けています。

実は昆虫で分子を表したのには訳があります。

つまり気体中で分子は運動・移動をしているので、

圧力センサ部に昆虫が衝突しそれにより圧力として捉えているという事を言いたいのです。

昆虫は温度が高くなると活発になるのでイメージとしても合っていますね。

 

さらに・・・

絶対湿度・混合比は重さ単位なので分子にも重量があるのでこの絵でも表現できるのであります。

窒素/N→分子量28

酸素/O→分子量30

アルゴン/Ar→分子量40

水/HO→分子量18という重さです。

ちなみに単位体積である1立方㎝には何個の分子数があるのでしょう。

 

なんと2.7×1019個なので・・・

27.000.000.000.000.000.000個

日本語にすると27.000京(1016)となります。

そう・・・世界最高水準のスーパーコンピュータ「京」が1立方㎝の中にある感じです。

 

いろいろ湿度の物理単位から説明しましたが厄介なのはやはり相対湿度だと思います。

U(相対湿度)=e/es✕100

e:水蒸気圧(Pa) es:飽和水蒸気圧(Pa)

これは百分率なので分子と分母の単位(Pa)が相殺されて消えているのです。

「科学なのに単位を消すなよ~!」と思うのですが・・・

伝統的な物理単位なのでしょうがないのですね。

 

さて、次は相対湿度の基礎を説明しましょう!

 

昆虫ポスター作成は第一科学 田村製作

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