空き缶で風を計る6 農薬散布の巻

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身近では空き缶で風を計る事と農薬散布の問題がわかりました。

農薬散布に関してはドリフト(飛散現象)が問題になります。

これに関しては・・・

『農薬散布時のドリフト防止対策ガイダンス』(ドリフト対策連絡協議会)で定義付けがされています。

目安として風速3m/s以下で散布が可能とされていました。

 

おお、まさに空き缶が倒れた時の風速ですね。

http://www.jppn.ne.jp/nara/drift%20taisaku.htm

 

さらに食品衛生法が改正され、

残留農薬のポジティブリスト制度が平成18年5月29日から施行されています。

http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_drift/pdf/hisan_tebiki.pdf

 

安全な農作物は当然ですが、公園での除草剤・害虫駆除にも関わる身近な問題です。

ご近所に皮膚の弱い方などがいるとトラブルになるケースもあるようです。

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空き缶で風を計る方法は無指向性なので風向きに影響はなく、

さらに捉えるのは最大風速値になるのでリスクが減る方向になります。

公園や農地など出来れば囲むようにして4箇所以上の設置が一番効果的だと思いますよ。

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うん。なんか役になった気がしますね。

 

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この情報を開示してから全国からお問い合わせもいただきました。

最後に西日本の農林水産技術総合センターさんからお便りを紹介しますね。

私は現在、仕事の一環で農薬の飛散防止対策に関わっています。
これまで農薬散布時に風が強いと飛散しやすいため風速3m
(木の葉や小枝が動く程度)を超える場合は、
散布しないように・・・と注意を呼びかけていました。
もう少しわかりやすい表現がないかと思っていたところ、
関係者から缶風の話を聞き、誰にでも分かりやすいことから
「缶ビール500ccの空き缶が倒れたら3mを超えているので散布してはダメ」
との表現を使わせて頂いてますので、
発案者?である武田さんに取り急ぎお知らせした次第です。
今後もユニークな取組を期待しております。

自宅に風洞を作ったり大変だったけど・・・報われるな~!

第一科学 温湿度マイスター 武田

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空き缶で風を計る5 フィールドテスト in檜原湖の巻

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さて、缶と風速のデータが出来たのでいよいよフィールドテストを行いました。

場所は福島県の檜原湖であります。

ここのキャンプ場は磐梯山をかすめて来る風が結構強く・・・

私もタープのポールが折れること3回。

試験場所としては最適なキャンプ場ですね。

 

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実際のフィールドテストに使ったのがベーン式風速計。

簡易的に測るのには充分なものです。

この風速計もこの企画に協賛いただいたタスコジャパンさんから用意いただきました。

 

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用意した缶を机の上に置く準備ですが、

そのままだと缶が滑ってしまい倒れません。

そこで厚紙を切りテーブルに張って滑り止めとしました。

 

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この時、水平を確認するのも重要です。

缶と缶との間も50cm以上開けて乱流による相互干渉を防ぎます。

ただし風が一方から吹く場合は平行に並べるように置けば問題ないと思いますよ。

 

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風よ! は~やく来い。

 

hibarako6

しかし・・・予想に反して無風が続きました。

カタン!

やっと確認できたのが空き缶の3~4m/sの倒れです。

まあ・・・こんなものだよね(泣

ちなみに経験では8m/sぐらいの風速でタープが飛ばされたりするので、

150ccの水を入れた缶が倒れたら素直に撤収いたしましょう。

 
次回は農薬散布と空き缶で風を計る関係を記事にしますね。

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空き缶で風を計るシリーズ4 ビューフォート風力階級表とは?

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実際に空き缶で風を計るフィールドテストの前に、

今までの風速を知る方法としてビューフォート風力階級表を紹介します。

イギリス海軍提督のフランシス・ボーフォートが1806年に提唱したそうで、

今から200年も前の技術なんですね。

したがって当時は飛行機など無いですから、

海上の様相と風速を13段階に表すのが重要だったようです。
特に船は風上に向かうのと下に向かうのでは風速に差が出ます。

風下にまっすぐ進むときに風が無くなるときがあります。(船速=風速)

自分の力で漕ぐカヌーなどですごく実感したことがありますよ。

 

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空き缶で風を計るのは陸上なので、

陸上バージョンがこちらになります。

 
う~ん。かなり目安的です。

 

たとえば空き缶が倒れる風速は風速3.2m/sec。

風力階級2 顔に風を感じる。木の葉が動く。風見も動き出す。

ここら辺が主観的なんですね。

 

「風速には相当風速(開けた平らな土地で地上10mの高さでの10分間の平均風速)を用いる。」

と定義されているのでちょっと矛盾も感じます。

僕と同じように木の葉って大きいの?小さいの?どんな木?

などと突っ込む方が多いそうです。

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空き缶で風を計るシリーズ3 缶が倒れたときに計測するの巻

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風洞の内部分布を計測したデーターがあったので、

取りあえず載せておきます。

ご覧の通り・・・整流格子を入れた方が安定度が高い。

見事に理論が成立しているのです。

 

3kan
いよいよ計測ですが三種類の缶を用意しました。

年月が過ぎ・・・すでにパッケージが変わったものもありますが、

そちらは勘弁いただきたいのです。

 

①缶風洞6
風速を見ながら電圧調整器で徐々にブロワーの回転数を上げていき、

缶が倒れたときの風速計のメモリを記録します。

計測回数は3回・・・それを平均値にしてデータ・グラフ化します。

さらに缶に水を入れて重量を増やし繰り返します。

 
親父が二人でこんな会話。

「風速2.6m」

「缶が揺れてきました」

「さらに電圧を上げます。風速2.8m」

「今にも缶が倒れそうです!」

「風速3.0m」

「倒れました~!」

 
こんな感じで作り上げたのがこんなデータがこちらです。

 

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どのデータを見てもかなり近い特性でした。

簡単に言えば・・・

空き缶は風速3.2m/secぐらいで倒れます。

缶に水を150cc入れると風速8.7m/secぐらいで倒れるのです。

風洞の限界が12m/secが限界なのでそこまでのデータになりました。

 
面白いのが凹凸のあるエンボスになったサントリー瞬間。

倒れるときが一気に倒れましたね!

これはゴルフボールのような空力特性があるからだと思います。

 
グラフは以下を参照ください。

 

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空き缶で風を計るシリーズ2 自宅で風洞を製作するの巻

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あくまでも自費・趣味の領域で作らなければならないので、

材料費は深刻なのであります。(お小遣いの範囲だからね!)

そこで利用したのがプラダン。

プラスチック製の段ボールなんですね。

それを片側5cm幅で切れ目を入れて曲げやすくしました。

プラスチック製なのでカッターで簡単に切れて作業は楽ですね。

 

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超面倒なのがこの整流格子。

これはキャンプ仲間のE君にお願いしました。

プラダンを設計通りに切って切れ目を入れ組み上げます。

 

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いよいよ風洞にはめ込みますが慎重に・・・慎重に・・・

風洞の奥深いところがこの入り口と出口の処。

ちなみに風洞の前後は2mほど解放にしないとこれも乱流発生のもとになります。

 

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風を流すことで圧力が生じるので、

柔らかいプラダンは膨らんでしまいました。

そこで、さらに針金で締め込む補強も追加したのであります。

 

fuudou5
風速計はこの企画を賛同してくれた(株)三工社のU部長に依頼。

値付けされたものを貸してくれました。

ほんと・・・ありがとうございます。

 

①缶風洞6

風洞に缶を置くステージと出し入れする口を作り準備完了。

これに缶を置くとご覧の通りです。

ちなみに・・・

この風洞がちょんと整流されているかをどう確認するのでしょう?

答えは・・・

赤い糸を風洞の中に入れて流すとわかります。

大きく振れるのは整流されてない証拠なんですね。

 

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おおっ! かっこよく出来ました。

この写真が一番好きです。

 

fuudou8

風の発生源はブロワー。

これを電圧調整器で回転数を制御します。

計測は缶を観察するE君と風速の指示値を読み上げる私の二人組。

出来上がった時、家のヨメはひらすら呆れておりましたですよ。

空き缶で風を計る・・・名付けて缶風。

いよいよデータ取りの開始であります。

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空き缶で風を計るシリーズ1 自宅で風洞を設計するの巻

檜原湖

アウトドア歴45年の 第一科学 温湿度マイスター 武田 です。

GWや夏休みには1週間ほどキャンプをしているベテランですが、

ある時、ふと思いついたのがこのネタです。

 

テント倒れる
広いキャンプ場で風が強く吹き・・・

タープやテントなどが吹き飛ばされるキャンプサイト。

それを横目で見ながら考えたのがこちら。

 

風速何mでキャンパーは避難するべきか?

どのようにそれを知ることが出来るのか?であります。

そこで身近なもので風速を計かれないか考えてみました。

自然の風は基本的に色々な方向から都度変わりながら吹いています。

 

したがって無指向性のあるものでなければなりません。

風力発電で筒状の回転翼を発明した方がいますが、まさにビールの空き缶が同型状。

空き缶で風を計ることに思い至りました。

 

①設計3

ビールの空き缶はいったい風速何m/sで倒れるのか・・・?

 

そこでまず必要な風洞を作ることにしました。

簡単に風洞を作ると言っても資料がなかなかありません。

唯一入手できたのがこちらの資料です(貴重)

①設計4
まずは風洞の大きさを決めるのですが、

缶の大きさと筒表面の乱流を考えると直径40cm程度。

風速センサの位置に缶を置くとして・・・計算します。
(ちなみに下流に比べ上流が長いのはしっかり整流を作るためなんですね。)

Dが直径なので0.3m。

全長=8×0.4+3×0.4=4.4m

いくら何でもこれは自宅のリビングには置けません。

そこで必殺技が整流格子です。


風洞の中で整流格子は風を整える機能があります。

整流格子を用いないと風洞はひたすら長くなり、

(財)建材試験センターで見たものは10mもありました。

丸い風洞の中にマス目の格子を入れます。

この格子の目の数と長さを決めるのが図の式になるのです。

δはデルタという長さを表す文字です。

整流格子の効果は数割程度で良いので・・・1/4にします。

 

δ=1/4×0.3(直径)=7.5cm これが格子の一辺の長さです。

L(格子の奥行き方向の長さ)≧3×7.5cm

Lを23cmで設計しました。

 

この整流格子により風洞の長さを3mに縮める事が出来ると考えました。

とりあえず設計はここまで。

いよいよ次の記事から製作に入りますよ!

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