湿度を極める・・・高磁場環境・高電圧環境下での温湿度計測とは

ちょっと特殊な環境下で温湿度測定をしたい方もいらっしゃると思います。

具体的には・・・・
高周波や高電圧環境下での計測、高磁場環境、
食品調理(電子レンジ等)、送電線近郊、大型変圧器近辺・・・
さらに放射線では、
アルファ線、ベータ線、中性子線、ガンマ線、エックス線などなど。

この環境下での温湿度計測は難しいのです。

それは何故かというと・・・
温度センサ・湿度センサが金属・高分子素材を利用しているからなのですね。


信号線が火花を飛ばしたり・・・
温度センサ・湿度センサが短期で劣化したりとそのまま使用する事が出来ません。
(写真は線香花火ですが・・・笑)

でも、温度計でこんな製品が出来た事で計測の道が開けています。


それがこの蛍光式光ファイバー温度計であります。

原理は光ファイバーの先端に感温部(蛍光物質)を取り付ける事で、
この蛍光物質の温度的な光の減衰を光ファイバーを通して捉えます。

それを複数の温度域で検量線を求め温度換算するのですね。


スペックもキャリブレーションをすれば±0.5℃と充分使える精度です。
私的には物理的に測れない領域で測ることが出来ることの方が重要だと思ってしまいます。

そして、湿度ですがそちらもちょっと工夫がいります。
湿度のとても面白い特性として湿度換算ができる事です。

一般的な相対湿度計はその場で温度と共に湿度を計測する必要があります。
(相対湿度は温度1℃変化すると相対湿度は約3%変化する)

でも、絶対湿度や露点温度で計測すると温度による影響が消えるので、
その空間の空気をサンプリングすることが出来ます。
このサンプリングによる湿度計測は高精度の湿度標準で湿度の値付けをする時も行っています。


その具体例からちょっと解説しましょう!

医療で使われるMRI装置は被験者に高周波の磁場を与えます。
この環境で普通の温湿度計は使えません。

そこで前述の蛍光式光ファイバー温度センサで温度を測り・・・
テフロンチューブを使って温度センサ近くの空気をサンプリングするのです。

計測室ではサンプリングの配管途中に露点センサを挿入した治具を付け、
その露点計からの露点温度と蛍光式光ファイバー温度計の温度から、
相対湿度を演算して求めます。

これによりMRI装置近辺の温湿度を演算できるのですね。

図では鏡面冷却式露点計を使用していますが、
精度の良い温湿度計でも実現可能になります。

この方式はいろいろな所で応用することが出来ます。
・湿度センサを入れることのできない高温(150℃以上)の環境。
・粉塵などのとても多い条件の悪い環境。

ぜひ、こんな環境で測りたいような希望がありましたらお問い合わせください。

温度と湿度で悩んだらお気軽に私宛にメールして下さい。
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その赤外線体温計は正確ですか?/比較チェックをしてみました。


前回の記事「その体温計は正確ですか?/ご家庭で確認をする方法」を書いてから、

体温チェックで使われている赤外線体温計は正確ですかと質問をいくつか受けました。

そこで会社で4台ほど購入したのでチェックしてみる事に・・・

赤外線体温計は放射体温計、非接触温度計と原理的には同じものです。

すべての温度のある物からその温度に応じた赤外線を放射することから、

赤外線を赤外センサで受光して温度換算・表示しています。

詳しくは「温度を極める!その3の4・・・放射温度計の放射率と外乱の問題」を見てください。

その記事はこちら

 


通常の放射温度計との違いは体温測定用のBODYモードがあることです。

一般的に放射温度計の誤差はだいたい±1℃と言われています。

それだと体温計として使用できないので、

35℃~40℃近辺の間で補正曲線などを用いて指示させているのですね。

(もしくはこの狭い範囲で校正調整を行っているなど僕の推測です)

これにより±0.1℃の精度が出ると製造元は仕様に書いているようです。

僕的には原理的に±0.3℃が妥当な線ではという気がします。

 


ちょっと実験してみましょう。

こちらは工業用のサーモビュアーです。

二次元画像で温度分布を見ることが出来るのですね。

これで見ると十字のマークのおでこの温度は34.6℃と低めに指示しています。

これは皮膚の表面から汗が出ていて、
それが蒸発するときに熱を奪う蒸発潜熱による影響なのです。

また、おでこの直下には頭蓋骨があるので、これは断熱材的に働く物質。

皮膚と骨の間の毛細血管の量と太さ・血流量がキーになる事が予想されます。

実際に4台を普通体温計と比較した実験をしてみました。

被験者のA君は20代後半、B君は20代前半。

最初と最後に普通体温計で計測し・・・
その後に4台をそれぞれ3回計測しました。

モードはスイッチ切り替えで放射線とBODYモード。

放射線モードではほぼ工業用のサーモビュアーFLIARと同じ傾向。

BODYモードはスケール的に圧縮されている気がします。

数値的には普通体温計との比較ではAさんの場合低めに出ていますが、
Bさんでは同じような体温が測定されました。

やはり、皮膚表面と体温では個人差の方が大きいような結果でしょうか?

そうそう、発汗のしやすさも大きく影響する事も付け加えたいと思います。

 


話は変わりますが会社では外部の方との打ち合わせのパーテンションがこちら。

アクリル製だと定期的に消毒しなければいけませんが・・・

業務用のラップだと張り替えられるので重宝しています。

 


薄いラップは昔から赤外線を減少しても透過することが知られています。

こんな使い方が医療関係の方でも使えるのではないかと計測してみました。

 


また、このようにラップに包んでも良いと思います。

ほこりの多い現場測定で使われていた技法なのですね。

包む場合は引っ張るようにして包むことで薄く貼ることも出来ます。


結果がこちらです。

1℃から0.5℃ぐらい低めに出ます。

まあ、1℃持ち上げて見るようにすれば使えなくはありません。

かなり、マニアックな使い方として参考にして頂ければと思います。

社内で10人程度計測してみましたが、
それなりに35℃代から36℃台で計測できました。

万が一、37℃を越えた方がいた場合、
普通体温計で再度検温することにより二重チェックをしております。

幸い・・・まだ、我が社ではそのような機会はないようであります。

その体温計は正確ですか?/ご家庭で確認をする方法

新型コロナウィルス感染により体温計の役割が変わった気がします。

平熱・微熱・高熱などの言葉から・・・

37.5℃という数値に境目が出来た感じですね。

元々、体温計はサーミスタ温度センサを用い35℃~40℃の範囲で精度を求めた温度計。

各社の取説を見ても±0.1℃の精度を書いてありますが、

長年使った体温計にそんな精度が出るのでしょうか?

そこで家庭内で簡単にチェックする方法を考えてみました。

温度計の簡易チェックは氷と熱湯を使い0℃と100℃の確認は出来ますが、

体温計はそう簡単ではありません。

今回は最近流行の低温調理器を使って簡易チェックをしたいと思います。

これはRazorri社のものです。

ステンレス筒の中はこのようになっています。

攪拌用フィンとヒーター、温度センサ、空だき防止の温度検知センサと・・・

ほぼ、研究開発で使うような恒温水槽と同じ仕様になっています。

民生品は1万円もしないので驚きますね。

温度設定は0.5℃きざみ・・・

今回は一番知りたい37.5℃の設定にしてみました。

下は運転時間表示です。

今回は下の水槽は真空断熱鍋の断熱ケースを使用。

(寸胴鍋をバスタオルで保温しても可です)

37.5℃に達してから最低30分は温度がなじむまで置いておきます。

デジタルの値は誰もが信じやすいので危険です。

今回、面白い試みとしてカメラのタイムラプス機能を使って15分間の安定度を見てみました。

温度計はキッチン用ですが同じサーミスタ温度センサを使っているので、

0.1℃程度の検知は十分出来ます。

見ていただくと分かるのですがこの低温調理器凄い安定性。

10秒インターバルで15分の間にまったくドリフトしませんでした。

低温調理器もこの手法も仕事で充分使えそうですね。

これが全体写真です。

温度計、体温計を固定する木製の治具を作ったのですが、

これは台所にある菜箸や段ボールで代用可能です。

体温計はまず取説を準備します。

体温計には10分計、1~3分計、数十秒計などがあります。

勘違いも多いのですが10分計は温度上昇時に一度ブザーが鳴ります。

これは計測途中の合図でここでやめてしまうとかなり低く指示してしまいます。

体温計はどうしても使用頻度が低いので、使い方を忘れてしまう事があるのですね。

体温計はこのくらいまで水に入れます。(先端の防水・防浸は取説で確認)

今回は4本の体温計を用意してそれぞれ計測。

比較校正の方法のひとつで、それぞれを3~5回計測し平均値を求めます。

基準になる校正された温度計がないので、大きく外れたものは故障と見なす方法です。

キッチン温度計は温度の変動確認用のモニターにしました。

ちなみに体温計は写真のように輪ゴムで留めるのが使いやすかったです。

体温計は連続測定ができません。

そこで扇風機で10分程度かけて室温に戻しました。

今回は4本の体温計の簡易チェックを行いました。

体温計を1本しかお持ちでない方は・・・

ご近所、ご親戚、ご友人にぜひ声をかけて本数をそろえる方がチェックの精度が上がります。

一番チェックが難しかったのがこの15秒計でした。

この体温計は温度上昇の早さや傾きを見ることで予想した体温を表示します。

使う方にはとても便利な機能ですが・・・

スイッチを入れてからすぐ、5秒後、8秒後投入などいろいろ試してみました。

結果は8秒後に温水に投入するのが安定度は良かったです。

このMC-680の取説に・・・精度±0.1℃(標準室温23℃で恒温水槽で

実測測定した場合)と書いてあるので、方法は間違ってない気がします。

計測した結果がこちら。

平均を見ると10分計の再現性は抜群。

10年も使っているものもあるのですが日本製は優秀でありました。

15秒計は0.3℃ほど高めに指示していました。

これは実際に体温を測ったときにも同じ傾向が出ていると思います。

でも・・・体温37℃以上を上司に報告などとする会社ルールがあった場合、

この体温計だと36.8℃→37.1℃となってしまうのです。

どちらにしろ我が家の体温計の傾向が掴めたので、

安心して使うことが出来るのでした。

 

皆様の中にも体温計に不安感を持っている方もいると思います。

ぜひ、チェックしてみてください。

低温調理器のない方は熱マスが大きく温度が近い湯船などでも出来ると思います。

ただし、定期的にかき混ぜてくださいね!

 

注意:この記事は製品の優位性・精度や性能を保証するものではありません。

あくまでも簡易チェックによる傾向をつかむ方法として提案するものです。

新型コロナウィルスと湿度について

新型コロナウィルスに関しては、まだまだ分からないことが多く、

今までの通説を含めコメントするのはとても難しいのです。

ただ、温度湿度に関しては個人意見ではありますが、

ここでちょっとまとめてみたいと思った次第です。

この表は今まで広く引用されてきた室内環境(温度・湿度)による

インフルエンザウィルスの生存率を示したグラフです。

温度が高く湿度も高い環境ではより短時間でウィルスが生存しなくなるのです。

特に日本では冬場に感染が集中がすることから信じられてきたのですね。

ただ、新型コロナウィルスに関しては不明な点も多くあることから、

楽観的に夏には感染が治まるという事が疑問視されています。

 

ところが最近、アメリカ国立衛生研究所などの研究グループは、

新型コロナウイルスについて「エアロゾルという状態にした場合、

3時間が過ぎてもウイルスは生存していました。」と報告。

比較的このグラフのイメージに近い印象を受けたのです。

今後、温度湿度条件における生存の研究もされるそうなので、

湿度の仕事をしている私としてはとても興味があるところです。

会社では現在、無菌状態で湿度を発生できる調湿装置の開発を進めており、

この装置が同様の試験のお手伝いが出来ればと思った次第です。

 

室内で湿度を適度に保ちたい場合には加湿器が有効であります。

そこで室内の加湿方法として代表的な原理を図にしてみました。

少し前から気になっているニュース記事に次のような文があります。

「空気中の水分が高いと、その水の粒に、塵や埃と共にウィルスもくっついて床に落ちます。」

もしくは「加湿器を使うとその水の粒に、塵や埃と共にウィルスもくっついて床に落ちます。」

これに関しては私は疑問を持っていて本当かどうかちょっと意見したいと思います。

 

➀加熱式加湿器・・・ヒーターで水を100℃の蒸気にして噴霧する方式(沸騰)

高温の蒸気は数十センチで拡散し気化します。
ほとんどの場合、上部方向に噴霧され分子レベルまで拡散されるので、
床に落ちることはありません。

ここで空気中の水の分子の動きを解説すると、

分子の運動はとんでもなく早いと言うことです。

知り合いのトライポロジーの先生が計算したところによると・・・

気体中において金属面の金属の原子に衝突する水の分子の衝突回数は、

1秒間に2万回という計算が得られたそうです。(超高速!)

この事からも落下効果は期待できないと思ってしまいます。

(ただし、吹出し口の温度は100℃近くと高いのでウィルスを減らす効果は期待できそうです)

 

②気化式加湿器・・・水を吸い上げたフィルターに風を当てることで蒸発させる方式

厳密には水が蒸発によって気化するときに蒸発潜熱により温度が下がります。

これが加湿器より送風されると温度が低いので、加湿した空気は重く下の方に行きます。

暖かい空気が上に行き、冷たい空気が下に行く事と同じですね。

ただ、下がる温度はせいぜい数℃レベルなのですぐ室温になじんでしまいます。

蒸気の水の分子がとんでもなく早いと言うことから考えると、

床に落ちる可能性はとても低いと思います。

 

③超音波加湿器・・・超音波振動子により常温の水を霧化させ、送風機で拡散させる方式

物理的に霧化させるので、出てきたものはミストです。

これはまだ水の状態なので重く床に落ちることがあります。

この加湿器を床に置くと周りが濡れるのを経験したことがありませんか?

そう、私としてはこの超音波加湿器のみが床に落ちる可能性があるという見解ですね。

 

どちらにしろ、室内の湿度は高く保つのをお薦めするのですが、

ウィルスの感染力を弱めるためだけでなく・・・

身体の防御機能を高めるために有効だと言うことも重要です。

身体の防御機能のひとつである鼻腔粘液線毛輸送機能を維持するため、

湿度は重要なのですね。

呼吸によって体内には極小の異物や細菌が入ります。

それら異物を外部へ追い払い気管支をきれいに保つ働きをしているのが、

粘液上皮細胞の線毛だそうです。

線毛運動は湿度が高く、体の水分が高い方が活発に機能します。

なんでもスポーツドリンクなどのイオン飲料を飲むと、

低い湿度環境で鼻腔の線毛運動の低下を抑制するらしいです。

湿度を極める・・・湿度100%とは

ここ連日、雨が続いている梅雨であります。

7月2日、突然のご依頼を受けNHKさんの取材を受けた次第です。

その日の夕方放映されたテーマは「湿度100% どういう状態?」

たしかに最近の気象庁の予想では湿度100%と報道しています。

上の画像はNHKさんのHPからの引用です。

HHKさんのニュースのアドレスはこちら。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190702/1000032236.html
(2019/12 現在、リンク先はありません)

短時間で解説するのは難しい・・・

改めて勉強を続けなければと思った次第です。

 

 

 

 

 

 

社会科見聞録5・・・気象科学館


気象庁本庁の1階には誰もが利用する事が出来る気象科学館があります。

もちろん無料です。

住所は東京都千代田区大手町1-3-4と一等地。

気象科学館のHPはこちらであります。

受付をして入ると「はれるんちゃん」が迎えてくれました!

 

今から100年近く前には皇居の中にある北桔橋門(きたはねばしもん)にあり、

その後に現在の場所に移っているそうです。

 

日本の気象の歴史は1872年から始まっていますので・・・

凄い歴史を感じるのです。

 

入るとすぐに目に付くのがラジオゾンデの風船。

全国十数カ所で放球する時間は午前8:30と午後8:30!

放球は全世界で同時刻に行われています。

これが上空30Kmまで上がっていくのですね。

上空に行くと空気が薄くなるので直径10m以上まで膨らみます。

 

気球にぶら下がっている計器がこちら。

温度・湿度・気圧・GPS等々。

情報は無線で地上に飛ばされます。

ちなみに落ちて万がいち頭に当たっても安全なように・・・

パラシュート付きで発泡スチロールで覆われているのですね。

 

お次は雨量計の仕組みが分かるデモ機。

原理はとても簡単で鹿おどしのような仕組みで、

その回数で雨量が計れるのですね。

今の時期・・・雪の場合は計れないのでこの漏斗(ろうと、じょうご)の裏に、

雪を溶かす為のヒーターが入っています。

 

気象衛星のひまわりや観測船の模型が展示されています。

細かく読んでいくと10分20分と時間が掛かるのです。

 

火山の模型に地震の解説。

どれも分かり易い展示であります。

ちなみに時々、ここで小学生の団体さんを見かけるのですね。

 

津波シュミレーターは一番大きな展示スペース。

地震の規模に応じた波を発生して勉強するコーナーです。

 

家の模型などもあって津波の怖さを視覚的に訴えます。

海の深さによって津波の速度は変わります。

800km/h~100km/h前後。

ちょっと驚きました。

気象庁本庁も2020年には引っ越してしまうようなので、

ぜひ、1度見に来てくださいませ。

(記事掲載に関しては本庁の広報課の方に許可を取っております)

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湿度を極める!・・・毛髪式自記記録計のお話し

最近、毛髪式自記記録計についてご質問をされたので、

ここで少しお話しをさせていただきます。

この毛髪式自記記録計は湿度-測定方法(JIS Z 8806)では、

毛髪湿度計という名称になっています。

1783年にスイスのソーシュル氏によって発明されたのですから、

現役の湿度計とすれば最古に分類されます。

アスマン通風式湿度計は1880年なのでちょっと驚いてしまいますね。

 

毛髪式自記記録計の原理は毛髪の湿度による伸縮と連動し・・・

ドラム状になった記録紙上を指針の先のペンによって記録を行ないます。

同時にバイメタル等で同様に温度を記録する機能をもち、

一般的には自記二段記録計と呼ばれています。(温度と湿度で二段、自分で記録するから自記)

注意点は以下の通り。

・毛髪が汚れていると指示のくるいが生じる。
・低湿度での長時間放置は避ける。
・30%RH以下で正確な湿度測定は困難である。
・風圧がかかると指示に狂いが生じる。
・60℃以上での使用は避ける。
・有機溶剤が存在する雰囲気では使用できない。
・校正は、標準湿度計との比較により調整を行なう。

「校正は標準湿度計との比較により調整を行なう」とされているので、

定期メンテナンスが必要なのであります。

さらにメーカーによっては試験成績書や気象庁検定付きなどがありますが、

発送に宅急便を使うと振動で目盛りが当然狂う可能性があり、

力学的な湿度計なので疑問が残ります。

 

写真:アムステルダム国立美術館(蘭: Rijksmuseum Amsterdam)

 

日本では美術館や倉庫等の管理用として数多く販売されている毛髪式自記記録計。

なぜ、電子式湿度センサを使用した記録計に変わらないのでしょうか。

その理由としては紙を使った記録計の衰退とデータロガの普及と関係があります。

機構が機械的な毛髪式自記記録計は安価で製作できますが、

センサと紙を使った記録計との組み合わせはコスト高・・・

したがって最近は小型ロガに切り替わっているのですが、

記録紙に残るというのは改竄が出来にくいため好む方がいるのですね。

 

有名なレンブラント・『夜警』(1642)

海外の絵画の多くはそのまま展示されています。(盗難や事故があったものは別)

美術館をまわるとちょっと驚きます。

海外の美術館は歴史ある建物で大きく広いため環境変動も少ないのでしょうか。

 

それに対し日本ではケースに入れられる場合が多くあります。

それの考察が次のグラフです。

 

左が電子式湿度センサを使って計測をした例と、

右が毛髪式自記記録計を使って計測した例。

昔、ゴッホのひまわりが日本に来たときに計った時・・・

このような感じになったのですね。

毛髪式自記記録計は応答性や感度が悪いために、

絵画にとって非常に良いデータが取れています。

しかしながら日本の美術館の多くは空間が狭く、

空調機が常時制御している状態が多いのです。

当時は20分から30分の間隔で温湿度が変化しておりました。

これにより湿度衝撃という現象が起こり、

絵画自体に短期の延び縮みが起こるため劣化が促進します。

これを防ぐためにアクリル等のカバーを空調干渉、

紫外線カットを目的として設置するのです。

どちらにしろ毛髪式自記記録計を単独で使うのにはリスクを生じます。

 

ちなみに相対湿度の場合・・・

温度が1度上がると湿度は3%下がります。

湿度変化の起因は温度変化が元とも考えられるのですね。

 

少々長くなりましたが、

毛髪式自記記録計の伝説的キーワードについて、

最近、思いついたことを書きます。

「毛髪式自記記録計の毛髪はフランス人の処女の方の毛髪の特性が良い」

僕も長らく湿度に関わって不思議だと思う言葉なのですが、

先日、この世界遺産である富岡製糸所に行って気が付きました。

 

製糸所の中ではお湯を炊き絹糸を取ります。

当然、湿度は高湿になるために上部の建物には、

抜くための特殊な形状の屋根にしているそうです。

明治5年、明治維新直後に明治政府が日本の近代化のために設立した模範器械製糸場です。

あの西郷どんがまだ政府の中核にいるころの話なので驚きます。

この時、日本には製糸に関しての知識が少なく、

招いたのが当時、製糸の先端を行っていたフランスの技師オーギュスト・バスティアンさん。

繭から糸を取る繰糸器もフランスから取り寄せています。

繰糸器の技術には湿度計測が欠かせないため、

フランスで毛髪式自記記録計が進化したのではないのでしょうか?

色々な毛髪を試した結果・・・

「毛髪式自記記録計の毛髪はフランス人・・・」という結論に繋がったと思う次第です。

「エジソンの白熱電球は京都の八幡村にある竹をフィラメントに使った。」これに似ています。

ちなみに現在は馬のしっぽの毛を20~30本束ねていると聞いております。

面白いですね。

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温度を極める・・・お薦めの食品向け温度計について語る

11月に新潟の日本酒ソムリエの方と話す機会がありました。

その時に飲んだ日本酒は色々とありますが・・・

1年ほど違う環境で保存した同じ銘柄の日本酒を利き酒してその違いに驚いたのであります。

 

①ひとつは地中のトンネルのような温度が安定していると思われる場所。

②もうひとつは酒蔵で温度が安定しているのですが人の出入りは少なくともある場所。

 

この保管だけの違いで素人でも分かるぐらい味が違っていたのです。

・・・もちろん、まろやかで美味しいのは①の方でありました。

今回はこの違いに関しての推測を行い、

食品で使用するのに適した温度計の紹介をしたいと思います。

経験的に言えば温度が安定しているという事は、

実はとても奥が深い状態を示すのですね。

 


この計器は気象庁や産業総合技術研究所などで使われている温度の標準器です。

かなり大きなものですが・・・

温度表示が小数点以下10桁まで表示するのですね。

つまり、23.0012579634℃という感じです。

 

これにつながれている温度センサは太さが10mmほどあります。

これほど太いと温度の感度が低いと思っていたのですが、

手を団扇のように煽ってみると・・・

下の5桁ぐらいがパラパラと体温を感じてか変化するのですね。

これには正直びっくりしました。

ここで何を言いたいかというと、

温度の変化というのは思っていた以上にあるのだと言うことです。

みなさんがお使いになっている温度計で小数点以下が表示しないものや、

小数点一桁のものでは本当の変化は見ることが難しいのであります。

 

さて、次に最初に書いたお酒の状態を推測してみます。

通常、一升瓶のお酒の量としては1.8㍑になります。

これもメートル法により正確には1.803 906 837 リットルだそうです。

温度もそうですが小数点以下って凄いです。汗

これだけの熱容量を持つ物が温度変化が頻繁に変化する可能性は少ないので、

この絵のような予測をしてみました。

 


一升瓶のお酒に与える影響は次の5つがあると思います。

気温の変化、輻射熱、物体からの熱伝導、太陽光、エネルギー波。

酒蔵から見ると太陽光と物体からの熱伝導はまずは考えられないので除外します。

残るは気温の変化と輻射熱が1番有力でしょう。

電球、ストーブ、人の体からも輻射熱は出ているので・・・

その赤外線が瓶の表面の温度を変えるという可能性はゼロではありません。

 

瓶の表面から伝わった熱がガラスの縦方向に差が出た場合や、

瓶の表面から伝わった熱が中心のお酒と横方向に差が出た場合、

一升瓶の中身であるお酒が部分的に対流を起こしたのではと推測したのであります。

ゆっくりではあるのですがこれがお酒の風味に影響を与えた理由ではないでしょうか?

1年もの歳月が蓄積した結果かも知れません。

小数点以下の僅かな温度差でも原理的には対流は起こるのです。

 

最後に電波や電磁波などのエネルギー波による影響ですが・・・

これを避ける為に電波暗室で温度研究をしている方は

極低温域だったと聞いたことがあるので割愛いたします。

 


さて、このような温度計測に向いている温度計ですが、

これは過去の記事を読んで頂きたいと思います。

温度センサの方式で選択するのが1番重要です。

 

このグラフのように熱電対方式は×ですね。   →過去記事

熱電対自体がノイズを拾ってしまいます。

 

白金測温抵抗体がベストですがコスト面からは高額製品が多いようです。(愛用機)

 

その中の僕のお薦めはサーミスタ温度センサだと思います。

一般的にサーミスタは安価向けで精度が悪いという認識があるのですが、

温度範囲が狭い領域では良い特性が得られます。

0.01℃表示で酒蔵・倉庫などの温度域で使う場合、

5万円ほどで買うことが出来ます。

パソコンなどにログなどを落とし記録も出来る物もあるので、

温度幅を拡大してみると見えない物見えてくるのではないでしょうか?

 

その他、温度計で内部演算などで応答性が遅くなっているものも向きません。

推奨製品は写真を使用する許可が得て無いので興味ある方はお問い合わせくださいませ。→こちら

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湿度を極める!・・・潜熱についてのあれこれ

夏の暑い日に水を撒くという習慣が昔はありましたね。

エアコンの普及からあまり見られなくなりましたが、

なかなか趣のある風景でありました。

 

この水を撒くという目的ですが・・・

単に冷たい水で道路を冷やすということでは無く、

水が蒸発するときの気化熱により温度が下がるという物理現象を利用しているのです。

暑いと汗をかくことも同じように体温を下げる目的なので、

とても合理的だと思うのです。

 

さて、この潜熱という現象は水に深く関わります。

 

気体、水、氷の状態と熱の種類を表したものがこちらです。

液体から気体、あるいは固体から液体に変化するためには、

外部から熱を加える必要があるのです。

身近な所ですと氷を入れて攪拌する水はほぼ0℃で一定温度を保持するし、

大気圧中で沸騰している水は約100℃を保持します。

こんな感じで熱エネルギーが物質の構造変化に姿を変えるために、

見た目の熱変化を伴わず保持することから・・・

”潜って目に見えない”熱変化という意味で潜熱と呼ぶのですね。

 

温度をゆっくり下げていって正確に温度を測ったグラフがこちら。

0℃のところでちょっと保持することが分かりますね。

 

さて、湿度における潜熱という現象をちょっとご紹介しましょう。

1番よく使う言葉が蒸発潜熱です。

蒸発潜熱とは液体状の物質(水)が気体状の状態(水蒸気)に変化する時に必要な熱を指します。

 

この現象を使って湿度を測定する計測器をアスマン通風乾湿計と呼んでいます。

ドイツ人のアスマンさんが1880年ごろこの素晴らしい発明をしました。

2本の温度計を用意して1本にガーゼを薄く巻きます。

そちらを水で湿らすことで気化熱により温度が低くなるのですね。

この温度は周りの湿度によって差が大きくなったり小さくなるため、

気温を測る温度計との温度差で湿度に換算することが出来るのです。

専門的に書くと・・・Sprungの公式を使用して算出するのであります。

 

詳しくはこちらをご覧下さい。

 

ちょっと悩ましいのですが・・・

この優れたアスマン通風乾湿計で使われているのが水銀温度計。

2013年10月に採択、署名された「水銀に関する水俣条約」により、

今後、水銀添加製品や水銀含有廃棄物の処理が容易にできなくなります。

湿度計測分野では(水銀を含有するタイプの)アスマン式通風乾湿計が本条約の対象となり、

2020年から製造および輸出入が「禁止」されることになるそうです。

これを知ったらアスマンさん驚くでしょうね。

 

相対湿度も絶対湿度も計れる私の1番お薦めの温湿度計がこちら→計測用温湿度センサ

もちろん水銀は使いません。笑

温度と湿度で悩んだらお気軽に私宛にメールして下さい。
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超低湿度をテーマにしたセミナーのご案内

かなり専門的にはなってしまうのですが、

温湿度マイスターの私/武田が講演を依頼されました。

テーマは・・・リチウムイオン電池の製造プロセスにおける・・・

「超低湿度環境の維持、ドライルーム運用、湿度計測」

であります。

講師の方は以下の通りです。

【第1部】西野技術士事務所 所長 工学博士 技術士 西野 敦 氏
元・パナソニック(株) 本社研究所所長
電気化学会・キャパシタ技術委員会 元・委員長

【第2部】 (株)大気社 環境システム事業部 技術統括部 設計部 本岡 義啓 氏

【第3部】 (株)第一科学 執行役員 特機事業部事業部長 武田 秀樹 氏

【第4部】 JFEテクノリサーチ(株) ソリューション本部(千葉)
電池・材料解析評価センター長 島内 優 氏

おお~私を除いて凄い方ばかりです。笑

私も当日は聴講できるので今から楽しみなのですね。

講演内容はこちらをご覧下さい→→→セミナー案内

 

特にリチウム電池解体技術と調査事例、電池材料の微細構造と分析技術など

まさに今が旬の題材。

リチウム電池の不具合におけるリコールなどは毎年のように起こっていますからね・・・

 

ここで技術情報協会さんからのご厚意によりこのブログを読んでいただいた方に特典!

下記の用紙で申し込みを行うと講師紹介特別割引が受けられます。

通常、丸1日食事付きのセミナー60.000円が半額の30.000円になります。

実践的なお勉強からするとお得感があると思います。

 

さて、さて、まずは一生懸命資料を作成しなければと思う今日この頃です。

こちらからダウンロードしてくださいませ。

 

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