湿度を極める!その1の1・・・湿度は奥が深いのだ!
【相対湿度 Relative Humidity】……U
天気予報などで湿度と呼ばれるものは、この相対湿度を意味する場合がほとんどです。
相対湿度とは、ある温度での気体中の水蒸気圧とその気体の飽和水蒸気圧との比を100分率で表します。(飽和水蒸気圧とは…後程出てきます。)単位は、 % を使用します。(他の単位と混合して使用する場合、%RHを使用するときもあります。)
【絶対湿度 Absolute Humidity】……dv
ある温度での気体の単位体積中(1m3)に含まれる水蒸気の質量(g)を表します。単位は、g/m3を使用します。
ただし、空調業界などでは、次の混合比を絶対湿度と呼ぶこともありますのでご注意ください。
【混合比 Humidity Mixing Ratio】……r
水蒸気以外の空気(乾き空気)1kgに対し、何kgの水蒸気が存在するかを表します。
温度、圧力、体積が変化しても水蒸気の量が変化しなければ、この混合比は変わりません。単位はkg/kgを使用します。
空調業界などでは、この混合比の事を絶対湿度とよび、頻繁に使用します。
【飽和水蒸気圧 Pressure of satulated water vapor】……es
気体中に含まれる水蒸気の量には限界があり、これ以上含まれない限界を飽和と呼びます。この時の水蒸気の圧力を飽和水蒸気圧と呼び、この値は、温度、圧力により変化します。
また、0℃以下においては、水と共存する場合、氷と共存する場合により値は異なりますので注意が必要です。
【露点/霜点 Dew Point/Frost point】……td
気体の温度が高ければ高いほど多くの水蒸気を含むことができます。水蒸気を含む気体を冷却していくと、水蒸気の量は変化しませんが、相対湿度(%RH)は上昇し、ある温度において100%RHとなります。
この状態を飽和状態と呼び、この気体においては、これ以上水蒸気を含む余裕がない温度であることを示します。
つまり、これ以上冷却をすすめると、水蒸気の一部が凝縮し、露(水)となり、外部に現われてくるからです。
この温度をその気体における露点温度と呼びます。
当然、水ですので、0℃以下では霜(氷)となって現われてきます。この霜の状態で現われる点を霜点と呼び、露点と区別しています。
よく湿度は難しい/奥が深いという言葉を耳にします。
それはどうしてでしょう?
基礎物理単位でよく使うのは℃/Pa/m/Kg等たくさんあるのですが、
どれも基本単独で使える単位であります。
湿度の代表的な種類が上図なのですが、
湿度は単位から見てもたくさんあるのですね。
相対湿度 Relative Humidity・・・%
(他の単位と混合して使用する場合、%rhを使用するときもあります。)
絶対湿度 Absolute Humidity・・・g/m3
飽和水蒸気圧 Pressure of satulated water vapor・・・Pa
おっと湿度なのに圧力の単位で表しています。
混合比 Humidity Mixing Ratio・・・kg/kg
露点/霜点 Dew Point/Frost point・・・℃
今度は質量と温度の単位で湿度を表すのですね。
この他にも業界単位で使う変わったものもあるのですが、
湿度の単位は「大気中における」という定義がベースになっています。
ところが最近では不活性ガス中でも水分単位を用いるので・・・
水分>湿度というように広域的な意味合いで水分計測という言葉を使う機会が多くなりました。
さて、この地球の大気を分子・原子で表してみましょう。
このキャラクターの漫画を書くために時間がかかりブログ更新が遅れたのですよ(笑
大気の成分の大半は窒素ですね。 N2→78%
お次は酸素です。 O2→21%
その次がアルゴンさん。 Ar→1%弱
水分は0~4%という感じで変動します。
それを100匹に例えて昆虫で表してみました。
湿度を足すと100%(100匹)を越えてしまうので・・・
イメージとしては水の分子はその他の分子の隙間に溶け込むような感じで捉えると良いと思います。
これもまた湿度が難解だという「根っこ」になっています。
あれ?・・・温暖化が問題の二酸化炭素が抜けています。
実は二酸化炭素の割合は0.04%。
昔は0.02%程度でありました。
当然100匹の絵では描き込むことが出来ません。
10.000匹の絵を描けば4匹書き込むことが出来ます。
この小さな割合の変化が重要な環境問題になるのですから、
地球という惑星はとってもデリケートだと言えるのです。
さて、もう一度この絵を見てください。
上に圧力計を付けています。
実は昆虫で分子を表したのには訳があります。
つまり気体中で分子は運動・移動をしているので、
圧力センサ部に昆虫が衝突しそれにより圧力として捉えているという事を言いたいのです。
昆虫は温度が高くなると活発になるのでイメージとしても合っていますね。
さらに・・・
絶対湿度・混合比は重さ単位なので分子にも重量があるのでこの絵でも表現できるのであります。
窒素/N2→分子量28
酸素/O2→分子量30
アルゴン/Ar→分子量40
水/H2O→分子量18という重さです。
ちなみに単位体積である1立方㎝には何個の分子数があるのでしょう。
なんと2.7×1019個なので・・・
27.000.000.000.000.000.000個
日本語にすると27.000京(1016)となります。
そう・・・世界最高水準のスーパーコンピュータ「京」が1立方㎝の中にある感じです。
いろいろ湿度の物理単位から説明しましたが厄介なのはやはり相対湿度だと思います。
U(相対湿度)=e/es✕100
e:水蒸気圧(Pa) es:飽和水蒸気圧(Pa)
これは百分率なので分子と分母の単位(Pa)が相殺されて消えているのです。
「科学なのに単位を消すなよ~!」と思うのですが・・・
伝統的な物理単位なのでしょうがないのですね。
さて、次は相対湿度の基礎を説明しましょう!
昆虫ポスター作成は第一科学 田村製作