その赤外線体温計は正確ですか?/比較チェックをしてみました。


前回の記事「その体温計は正確ですか?/ご家庭で確認をする方法」を書いてから、

体温チェックで使われている赤外線体温計は正確ですかと質問をいくつか受けました。

そこで会社で4台ほど購入したのでチェックしてみる事に・・・

赤外線体温計は放射体温計、非接触温度計と原理的には同じものです。

すべての温度のある物からその温度に応じた赤外線を放射することから、

赤外線を赤外センサで受光して温度換算・表示しています。

詳しくは「温度を極める!その3の4・・・放射温度計の放射率と外乱の問題」を見てください。

その記事はこちら

 


通常の放射温度計との違いは体温測定用のBODYモードがあることです。

一般的に放射温度計の誤差はだいたい±1℃と言われています。

それだと体温計として使用できないので、

35℃~40℃近辺の間で補正曲線などを用いて指示させているのですね。

(もしくはこの狭い範囲で校正調整を行っているなど僕の推測です)

これにより±0.1℃の精度が出ると製造元は仕様に書いているようです。

僕的には原理的に±0.3℃が妥当な線ではという気がします。

 


ちょっと実験してみましょう。

こちらは工業用のサーモビュアーです。

二次元画像で温度分布を見ることが出来るのですね。

これで見ると十字のマークのおでこの温度は34.6℃と低めに指示しています。

これは皮膚の表面から汗が出ていて、
それが蒸発するときに熱を奪う蒸発潜熱による影響なのです。

また、おでこの直下には頭蓋骨があるので、これは断熱材的に働く物質。

皮膚と骨の間の毛細血管の量と太さ・血流量がキーになる事が予想されます。

実際に4台を普通体温計と比較した実験をしてみました。

被験者のA君は20代後半、B君は20代前半。

最初と最後に普通体温計で計測し・・・
その後に4台をそれぞれ3回計測しました。

モードはスイッチ切り替えで放射線とBODYモード。

放射線モードではほぼ工業用のサーモビュアーFLIARと同じ傾向。

BODYモードはスケール的に圧縮されている気がします。

数値的には普通体温計との比較ではAさんの場合低めに出ていますが、
Bさんでは同じような体温が測定されました。

やはり、皮膚表面と体温では個人差の方が大きいような結果でしょうか?

そうそう、発汗のしやすさも大きく影響する事も付け加えたいと思います。

 


話は変わりますが会社では外部の方との打ち合わせのパーテンションがこちら。

アクリル製だと定期的に消毒しなければいけませんが・・・

業務用のラップだと張り替えられるので重宝しています。

 


薄いラップは昔から赤外線を減少しても透過することが知られています。

こんな使い方が医療関係の方でも使えるのではないかと計測してみました。

 


また、このようにラップに包んでも良いと思います。

ほこりの多い現場測定で使われていた技法なのですね。

包む場合は引っ張るようにして包むことで薄く貼ることも出来ます。


結果がこちらです。

1℃から0.5℃ぐらい低めに出ます。

まあ、1℃持ち上げて見るようにすれば使えなくはありません。

かなり、マニアックな使い方として参考にして頂ければと思います。

社内で10人程度計測してみましたが、
それなりに35℃代から36℃台で計測できました。

万が一、37℃を越えた方がいた場合、
普通体温計で再度検温することにより二重チェックをしております。

幸い・・・まだ、我が社ではそのような機会はないようであります。