その赤外線体温計は正確ですか?/比較チェックをしてみました。


前回の記事「その体温計は正確ですか?/ご家庭で確認をする方法」を書いてから、

体温チェックで使われている赤外線体温計は正確ですかと質問をいくつか受けました。

そこで会社で4台ほど購入したのでチェックしてみる事に・・・

赤外線体温計は放射体温計、非接触温度計と原理的には同じものです。

すべての温度のある物からその温度に応じた赤外線を放射することから、

赤外線を赤外センサで受光して温度換算・表示しています。

詳しくは「温度を極める!その3の4・・・放射温度計の放射率と外乱の問題」を見てください。

その記事はこちら

 


通常の放射温度計との違いは体温測定用のBODYモードがあることです。

一般的に放射温度計の誤差はだいたい±1℃と言われています。

それだと体温計として使用できないので、

35℃~40℃近辺の間で補正曲線などを用いて指示させているのですね。

(もしくはこの狭い範囲で校正調整を行っているなど僕の推測です)

これにより±0.1℃の精度が出ると製造元は仕様に書いているようです。

僕的には原理的に±0.3℃が妥当な線ではという気がします。

 


ちょっと実験してみましょう。

こちらは工業用のサーモビュアーです。

二次元画像で温度分布を見ることが出来るのですね。

これで見ると十字のマークのおでこの温度は34.6℃と低めに指示しています。

これは皮膚の表面から汗が出ていて、
それが蒸発するときに熱を奪う蒸発潜熱による影響なのです。

また、おでこの直下には頭蓋骨があるので、これは断熱材的に働く物質。

皮膚と骨の間の毛細血管の量と太さ・血流量がキーになる事が予想されます。

実際に4台を普通体温計と比較した実験をしてみました。

被験者のA君は20代後半、B君は20代前半。

最初と最後に普通体温計で計測し・・・
その後に4台をそれぞれ3回計測しました。

モードはスイッチ切り替えで放射線とBODYモード。

放射線モードではほぼ工業用のサーモビュアーFLIARと同じ傾向。

BODYモードはスケール的に圧縮されている気がします。

数値的には普通体温計との比較ではAさんの場合低めに出ていますが、
Bさんでは同じような体温が測定されました。

やはり、皮膚表面と体温では個人差の方が大きいような結果でしょうか?

そうそう、発汗のしやすさも大きく影響する事も付け加えたいと思います。

 


話は変わりますが会社では外部の方との打ち合わせのパーテンションがこちら。

アクリル製だと定期的に消毒しなければいけませんが・・・

業務用のラップだと張り替えられるので重宝しています。

 


薄いラップは昔から赤外線を減少しても透過することが知られています。

こんな使い方が医療関係の方でも使えるのではないかと計測してみました。

 


また、このようにラップに包んでも良いと思います。

ほこりの多い現場測定で使われていた技法なのですね。

包む場合は引っ張るようにして包むことで薄く貼ることも出来ます。


結果がこちらです。

1℃から0.5℃ぐらい低めに出ます。

まあ、1℃持ち上げて見るようにすれば使えなくはありません。

かなり、マニアックな使い方として参考にして頂ければと思います。

社内で10人程度計測してみましたが、
それなりに35℃代から36℃台で計測できました。

万が一、37℃を越えた方がいた場合、
普通体温計で再度検温することにより二重チェックをしております。

幸い・・・まだ、我が社ではそのような機会はないようであります。

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その体温計は正確ですか?/ご家庭で確認をする方法

新型コロナウィルス感染により体温計の役割が変わった気がします。

平熱・微熱・高熱などの言葉から・・・

37.5℃という数値に境目が出来た感じですね。

元々、体温計はサーミスタ温度センサを用い35℃~40℃の範囲で精度を求めた温度計。

各社の取説を見ても±0.1℃の精度を書いてありますが、

長年使った体温計にそんな精度が出るのでしょうか?

そこで家庭内で簡単にチェックする方法を考えてみました。

温度計の簡易チェックは氷と熱湯を使い0℃と100℃の確認は出来ますが、

体温計はそう簡単ではありません。

今回は最近流行の低温調理器を使って簡易チェックをしたいと思います。

これはRazorri社のものです。

ステンレス筒の中はこのようになっています。

攪拌用フィンとヒーター、温度センサ、空だき防止の温度検知センサと・・・

ほぼ、研究開発で使うような恒温水槽と同じ仕様になっています。

民生品は1万円もしないので驚きますね。

温度設定は0.5℃きざみ・・・

今回は一番知りたい37.5℃の設定にしてみました。

下は運転時間表示です。

今回は下の水槽は真空断熱鍋の断熱ケースを使用。

(寸胴鍋をバスタオルで保温しても可です)

37.5℃に達してから最低30分は温度がなじむまで置いておきます。

デジタルの値は誰もが信じやすいので危険です。

今回、面白い試みとしてカメラのタイムラプス機能を使って15分間の安定度を見てみました。

温度計はキッチン用ですが同じサーミスタ温度センサを使っているので、

0.1℃程度の検知は十分出来ます。

見ていただくと分かるのですがこの低温調理器凄い安定性。

10秒インターバルで15分の間にまったくドリフトしませんでした。

低温調理器もこの手法も仕事で充分使えそうですね。

これが全体写真です。

温度計、体温計を固定する木製の治具を作ったのですが、

これは台所にある菜箸や段ボールで代用可能です。

体温計はまず取説を準備します。

体温計には10分計、1~3分計、数十秒計などがあります。

勘違いも多いのですが10分計は温度上昇時に一度ブザーが鳴ります。

これは計測途中の合図でここでやめてしまうとかなり低く指示してしまいます。

体温計はどうしても使用頻度が低いので、使い方を忘れてしまう事があるのですね。

体温計はこのくらいまで水に入れます。(先端の防水・防浸は取説で確認)

今回は4本の体温計を用意してそれぞれ計測。

比較校正の方法のひとつで、それぞれを3~5回計測し平均値を求めます。

基準になる校正された温度計がないので、大きく外れたものは故障と見なす方法です。

キッチン温度計は温度の変動確認用のモニターにしました。

ちなみに体温計は写真のように輪ゴムで留めるのが使いやすかったです。

体温計は連続測定ができません。

そこで扇風機で10分程度かけて室温に戻しました。

今回は4本の体温計の簡易チェックを行いました。

体温計を1本しかお持ちでない方は・・・

ご近所、ご親戚、ご友人にぜひ声をかけて本数をそろえる方がチェックの精度が上がります。

一番チェックが難しかったのがこの15秒計でした。

この体温計は温度上昇の早さや傾きを見ることで予想した体温を表示します。

使う方にはとても便利な機能ですが・・・

スイッチを入れてからすぐ、5秒後、8秒後投入などいろいろ試してみました。

結果は8秒後に温水に投入するのが安定度は良かったです。

このMC-680の取説に・・・精度±0.1℃(標準室温23℃で恒温水槽で

実測測定した場合)と書いてあるので、方法は間違ってない気がします。

計測した結果がこちら。

平均を見ると10分計の再現性は抜群。

10年も使っているものもあるのですが日本製は優秀でありました。

15秒計は0.3℃ほど高めに指示していました。

これは実際に体温を測ったときにも同じ傾向が出ていると思います。

でも・・・体温37℃以上を上司に報告などとする会社ルールがあった場合、

この体温計だと36.8℃→37.1℃となってしまうのです。

どちらにしろ我が家の体温計の傾向が掴めたので、

安心して使うことが出来るのでした。

 

皆様の中にも体温計に不安感を持っている方もいると思います。

ぜひ、チェックしてみてください。

低温調理器のない方は熱マスが大きく温度が近い湯船などでも出来ると思います。

ただし、定期的にかき混ぜてくださいね!

 

注意:この記事は製品の優位性・精度や性能を保証するものではありません。

あくまでも簡易チェックによる傾向をつかむ方法として提案するものです。

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温度を極める・・・お薦めの食品向け温度計について語る

11月に新潟の日本酒ソムリエの方と話す機会がありました。

その時に飲んだ日本酒は色々とありますが・・・

1年ほど違う環境で保存した同じ銘柄の日本酒を利き酒してその違いに驚いたのであります。

 

①ひとつは地中のトンネルのような温度が安定していると思われる場所。

②もうひとつは酒蔵で温度が安定しているのですが人の出入りは少なくともある場所。

 

この保管だけの違いで素人でも分かるぐらい味が違っていたのです。

・・・もちろん、まろやかで美味しいのは①の方でありました。

今回はこの違いに関しての推測を行い、

食品で使用するのに適した温度計の紹介をしたいと思います。

経験的に言えば温度が安定しているという事は、

実はとても奥が深い状態を示すのですね。

 


この計器は気象庁や産業総合技術研究所などで使われている温度の標準器です。

かなり大きなものですが・・・

温度表示が小数点以下10桁まで表示するのですね。

つまり、23.0012579634℃という感じです。

 

これにつながれている温度センサは太さが10mmほどあります。

これほど太いと温度の感度が低いと思っていたのですが、

手を団扇のように煽ってみると・・・

下の5桁ぐらいがパラパラと体温を感じてか変化するのですね。

これには正直びっくりしました。

ここで何を言いたいかというと、

温度の変化というのは思っていた以上にあるのだと言うことです。

みなさんがお使いになっている温度計で小数点以下が表示しないものや、

小数点一桁のものでは本当の変化は見ることが難しいのであります。

 

さて、次に最初に書いたお酒の状態を推測してみます。

通常、一升瓶のお酒の量としては1.8㍑になります。

これもメートル法により正確には1.803 906 837 リットルだそうです。

温度もそうですが小数点以下って凄いです。汗

これだけの熱容量を持つ物が温度変化が頻繁に変化する可能性は少ないので、

この絵のような予測をしてみました。

 


一升瓶のお酒に与える影響は次の5つがあると思います。

気温の変化、輻射熱、物体からの熱伝導、太陽光、エネルギー波。

酒蔵から見ると太陽光と物体からの熱伝導はまずは考えられないので除外します。

残るは気温の変化と輻射熱が1番有力でしょう。

電球、ストーブ、人の体からも輻射熱は出ているので・・・

その赤外線が瓶の表面の温度を変えるという可能性はゼロではありません。

 

瓶の表面から伝わった熱がガラスの縦方向に差が出た場合や、

瓶の表面から伝わった熱が中心のお酒と横方向に差が出た場合、

一升瓶の中身であるお酒が部分的に対流を起こしたのではと推測したのであります。

ゆっくりではあるのですがこれがお酒の風味に影響を与えた理由ではないでしょうか?

1年もの歳月が蓄積した結果かも知れません。

小数点以下の僅かな温度差でも原理的には対流は起こるのです。

 

最後に電波や電磁波などのエネルギー波による影響ですが・・・

これを避ける為に電波暗室で温度研究をしている方は

極低温域だったと聞いたことがあるので割愛いたします。

 


さて、このような温度計測に向いている温度計ですが、

これは過去の記事を読んで頂きたいと思います。

温度センサの方式で選択するのが1番重要です。

 

このグラフのように熱電対方式は×ですね。   →過去記事

熱電対自体がノイズを拾ってしまいます。

 

白金測温抵抗体がベストですがコスト面からは高額製品が多いようです。(愛用機)

 

その中の僕のお薦めはサーミスタ温度センサだと思います。

一般的にサーミスタは安価向けで精度が悪いという認識があるのですが、

温度範囲が狭い領域では良い特性が得られます。

0.01℃表示で酒蔵・倉庫などの温度域で使う場合、

5万円ほどで買うことが出来ます。

パソコンなどにログなどを落とし記録も出来る物もあるので、

温度幅を拡大してみると見えない物見えてくるのではないでしょうか?

 

その他、温度計で内部演算などで応答性が遅くなっているものも向きません。

推奨製品は写真を使用する許可が得て無いので興味ある方はお問い合わせくださいませ。→こちら

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社会科見聞録2・・・魚津埋没林博物館

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今回は富山県魚津市の魚津埋没林博物館さんを紹介します。

こちら富山から小一時間・・・

「魚津埋没林」と運が良ければ見られる「蜃気楼」の博物館なんですね。

 

今回は記事を書くにあたり魚津埋没林博物館さんから快く了解を得る事が出来ましたので、

蜃気楼の温度におけるメカニズムなども紹介いたします。

 

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埋没林とは文字どおり「埋もれた林」のことだそうです。

約2,000年前、片貝川の氾濫によって流れ出た土砂がスギの原生林を埋め、

その後・・・海面が上昇して現在の海面より下になったと考えられています。

 

実際に見てみると・・・ただただ美しいです。

 

水面下からも見られる工夫がしているので、

癒やされたい方はぜひ行ってみてくださいね。

 

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「蜃気楼」はお隣にある海の駅「蜃気楼」さんから見るのもおすすめ。

広い駐車場から富山方面を望みましたが、

この日は風が強く見ることは出来ませんでした。  (T_T)

 

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冬の蜃気楼は、11月~3月頃の寒い時期、

春の蜃気楼が出やすい時期は(3月下旬~)4月~5月(~6月上旬)なので今がチャンスです。

休みの日にはボランティアの方が説明に出ているので、

いろいろと教えてくれます。

 

そもそも蜃気楼が見られるメカニズムとは何なんでしょう?

魚津埋没林博物館さんのHPにわかりやすい解説が書いてありますので引用しますね。

 

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蜃気楼は、大気中の温度差(=密度差)によって光が屈折を起こし、

遠方の風景などが伸びたり反転した虚像が現れる現象です。

蜃気楼には大別して上位蜃気楼と下位蜃気楼とがあります。

 

上位蜃気楼も下位蜃気楼も、大気中で光が屈折して発生します。

物体はあらゆる方向に光を反射していますが、

そのうち私たちの目に見えるのは一部だけです。

大気中に温度差がないとき光は直進するので、

物体と目を直線で結ぶ方向の光だけが目に見えます。

ところが、冷たい空気と暖かい空気が重なり合い、

その境界の狭い範囲で空気の温度が連続的に変化するような場合、

そこで光の屈折が起きます。

 

このような層の中では、光は温度の低い(=密度の高い)方へ屈折しカーブを描きます。

そのため、上が暖かく下が冷たい空気層では、

上へ向かう光線の一部が屈折して下へ戻り、

観察者の目に届きます(凸形にカーブした光線、下図上のa-b-gやa-d-f)。

逆に、下が暖かく上が冷たい空気層では、

下へ向かった光線の一部が屈折によって上へ戻ってきます。

(凹形にカーブした光線、下図下のa-b-gやa-d-f)

 

人は、途中でどんなに光が曲がっていても、

目に入ってくる直前の光の方向に物体があるようにしか見えません。(上図のa-b-cやa-d-e)。

したがって、凸形のカーブで届いた光では実際の風景の上側に虚像が見え、

凹形のカーブで届いた光では下側に虚像が見えることになります。

どちらの場合も・・・

冷たい空気の部分を直線的に届く光(上図のa-fやa-g)によって実景そのものも見えます。

 

温度の低い(=密度の高い)方へ屈折という文章表現が、

大気の温度における分子運動に通じる物がありワクワクしますね。

遠い景色を見ながらその間に分子や原子を動きを想像するスケール感。

こういうのが大好きです。

 

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蜃気楼の伸びという現象がこちら。

実景が実際より高く上へ伸びて見えます。

全体が一様に高く伸びて板塀状に見える場合や、

所々が欠けてバーコード状に見える場合等さまざまな変化があります。

ほんと見てみたかったです。

 

ちなみに撮影ですが普通のデジカメでは撮れません。

焦点距離500mm相当(35mm判換算)以上の超望遠レンズが必要だそうです。

双眼鏡で言えば10倍程度ですかね・・・

 

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おまけですが・・・

海の駅「蜃気楼」さんの白エビコロッケ(250円)

ちょっと高いけど超美味しかったです!

温度を極める!その4の3・・・熱流は「ああ~♪川の流れのように~」

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熱流を体感できるのは熱流センサだけではありません。

温度勾配を見ることでおおよその熱流を知ることが出来るのです。

しかし、それにはグラフが必要。

スケーリング変更が出来る温度のトレンドグラフは必須になります。

 

今回は熱流を川の流れにたとえて説明をしますね。

題して・・・「ああ~♪川の流れのように~」であります。

熱流は川で言うと急流から清流までをイメージしています。

高低差が一番重要で熱流密度Q(W/m2)の式・・・

Q=(λ/d)・⊿Tからすると⊿Tが該当します。

 

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温度変化を35℃から15℃安定まで変化させたグラフがこちらです。

最初の15分程度で熱流が一番大きく流れます。

 

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次のグラフが熱流の中の状態。

温度差が小さくなると熱流量も小さくなることが分かりますね。

45分あたりで3~3.5℃の変化量です。

 

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さらに熱流が小さくなると・・・

1時間あたりで0.3℃の変化量です。

まさに川の流れのようであります。

 

さて、ここの重要点はひとつです。

 

仮にもっと早く温度を達成させようとして、

冷凍機やヒーターの能力を大きくしても変化量の大きいのは最初の熱流大の時間が短くなる傾向。

温度変化量が小さい場合はあまり改善されません。

しかも温度変化が一番小さい部分は時間も長いのです。

 

このグラフでは0.1℃以内の安定状態まで2時間かかっているので、

冷凍機やヒーターの能力を大きくしても10分程度短くしかならないことが予想されます。

 

熱流密度の式から言うと熱伝導の改善と熱流の面積を増やすのが重要なのです。

温度の道も険しいので・・・

温度標準の0.01℃安定までの時間はさらに長くなります。

 

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熱電対などで計ると表示は小数点以下1つ程度。

1時間あたりで0.3℃の変化量などは判断できません。

そこでこのような白金測温抵抗体の温度計が必要になるのです。

***高精度デジタル温度計仕様例***

センサ:3線式及び4線式温度センサ(Pt100)に対応

精度: ±0.01℃(4線式)、±0.05℃(3線式)

分解能: 0.001℃  測定範囲: -200℃~+850℃

 

ちなみに0.02℃安定の世界では4時間~6時間必要だったというグラフがこちら!

気象庁の温度校正器を作ったときのデータであります。

 

kawa6

 

そうそう、分解能の高い温度計のメリットとしてはもうひとつありました。

小数点以下2~3桁に着眼すると・・・

温度試験などの結果が早く予想が付きます。

目に見える変化量は貴重と言うことですね!

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温度を極める!その4の2・・・熱流を考える

 

前回はヒートブリッジに関して書きましたが、

これは熱が伝わるという現象です。

ところで・・・そもそも熱って何でしょう?

 

世の中の物質はすべて分子と原子からできていますね。

それらの分子(原子)はすべて乱雑な運動をしています。

この運動エネルギーの大きさが熱の大きさ(温度)になっているのです。

 

つまり分子(原子)のブルブルが温度であり、

温度はブルブル量にセルシウス温度(℃)と絶対温度(K)という目盛りを付けたものとなりま。

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ここで熱流という考え方を書きたいと思います。

熱流は温度のブルブル量を川の流れのように捉えたものです。

この流れの量を計る方法があるんですね。

 

熱流は、平面状微小熱抵抗体を熱流(熱エネルギー)が貫通するとき、

熱流の大きさに比例した熱抵抗体の両面に生じる温度差を検出することによって測定できます。

上図のように、放熱面に熱伝導率λ(W/mK)、厚みd(m)の薄い板を取り付けたとすると、

定常状態に達してからのちにこの薄い板を貫通して流れる熱流密度Q(W/m2)は次の式で求められます。

 

Q=(λ/d)・⊿T
この式から熱伝導が良い物と温度差があった方が熱の流れが大きく・・・

熱伝導の悪い物と厚みがある方が熱の流れが小さくなることが分かります。

さらに熱流密度Qの単位はW/m2なので流れる量は面積が多いほど大きくなります。

ちなみに真空は熱伝導率がゼロ・・・

これは熱を伝える分子(原子)がないからであります。

真空断熱のポットのお湯が冷めにくいのは原理によるものだったのですね。

 

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熱流計で計るという事はどんな評価に使われるのでしょうか?

断熱材の評価に使われるのが一番有名になります。

このほかの評価方法としては温度変化の勾配をみる方法もありますが、

直感的に分かるのがこの計測方法だと思います。

逆に熱伝導の良い物にも使われます。

車に搭載されるリチウムイオンバッテリーの放熱構造でも活躍しそうですね。

 

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もう一つ面白いのが、熱流センサに表と裏があることです。

これにより発熱と吸熱という温度の流れが分かります。

温度計測の経験値を積めば発熱と吸熱は感覚的に判断出来ますが、

視覚的にわかりやすい使い方だと思います。

寒冷地試験など自然と相対する試験では使ってみたい気がしますね。

 

絵:日置電機株式会社殿熱流ロガカタログより

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温度を極める!その4の1・・・ヒートブリッジを考える

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ヒートブリッジという言葉はご存じだろうか?

温度に携わる僕はこれを多用することで計測に応用したり装置を作ったりしています。

まさにヒートブリッジを制する者は温度を制すなのであります。

 

もともと・・・ヒートブリッジ(熱橋)とは建築用語。

外壁と内壁の間にある柱などが熱を伝える現象のことなのです。

初めて知ったのがハウスメーカーさんとの仕事なんですが、

これを計測の世界に持ち込んでみました。

 

どんなものかというと上の図から解説しましょう。

箱に温度センサを差し込み温度を計測する場合、

外部温度がセンサを通じて熱伝導し誤差を生じる事があります。

センサに使われている導線が熱伝導の良い銅が使用されているので、

温度差が大きければ影響も大きいのです。

もちろん・・・センサカバーの金属筒からも伝わります。

 

これをキャンセルする方法が次です。

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このようにしてセンサを中に入れて熱切りをします。

(ヒートブリッジ⇔熱切りという言葉は相反関係なのでぜひ覚えてくださいね!)

さらにケーブルを丸めて距離を稼ぐのです。

僕は丸めるケーブルを熱交換すると呼んでいるんですね。

正確な温度を知るには必須の工夫だと思います。

 

さて、これを装置に応用したのがこちらです。

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これは福井大医学部・腫瘍病理学領域 三好憲雄先生と一緒に開発したセルです。

詳しい内容はこちら

がんの早期診断技術に必要な超薄型鮮度保持サンプルホルダーの構造ですが、

わずか1mmの空間の温湿度制御を可能にした世界一薄い恒温恒湿槽ですね。

 

構造上は・・・上部の蓋に温度を与えることが出来ないため。

ヒートブリッジを使い恒温空間を作り出しました。

贅沢に銅より熱伝導の良い銀を柱にしております。

こんな使い方も出来るんですよ・・・

 

今回はヒートブリッジに関して簡単に述べましたが、

次回は熱流を深く語ってみようと思います。

第一科学 温湿度マイスター 武田

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温度を極める!その3の4・・・放射温度計の放射率と外乱の問題

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物体から放射される赤外線の放射量は材質や表面状態により顕著な違いがあります。

たとえば同一温度でありながら、

鉄とアルミでは放射する赤外線エネルギー量(放射率)に違いがあるわけです。

これを放射率と呼ぶのですが違う面から言うと・・・

熱放射しやすい物体はそれと同程度に熱吸収しやすく(キルヒホフの法則)、

熱放射と熱吸収の割合である放射率と吸収率は次の関係になります。

 

放射率=吸収率

 

日なたに置いた黒い布は太陽熱を吸収しやすいと同時に熱放射もしやすい。

つまり、熱しやすく冷めやすい。

あ~こんな人もいるいる・・・なんてね。

 

次に物質により大まかに放射率を列挙した表があるのでご覧ください。

 

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これで見るとアルミが一般的に計りにくい材質なのが分かります。

ただし、これは表面の問題なので、

アルミに樹脂のテープなどを貼るという事で解決できます。

あくまでも熱放射される表面の材質によるんですね。

 

ここで、この表から表面の状態によっても放射率が違うのも分かります。

研磨面と粗面の違いです。

この現象の一番の影響を反射と呼んでいます。

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赤外線と温度の関係を定義する理想黒体は、

他からの赤外線をまったく反射しないことを前提としています。

しかし実在の物質は、外部からの赤外線を反射しています。

測定対象が放射する赤外線と、

他の物体から放射され反射した赤外線は区別されることなく、

そのまま測定対象の赤外線エネルギー量として合わせて計測されてしまいます。

 

hansya

鏡面仕上げの金属の温度測定を行う場合、

周りに熱源となる白熱球やヒーターなどの映り込みがあると・・・

実際の温度より高めになるケースですね。

 

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放射温度計が面白いと思うのがアイデア次第で色々なことが出来ることです。

反射に対して透過というのがこの現象。

食品用ラップフィルムは厚みが十数μm程ですが、

これだと薄すぎて透過し反対側の温度を取ってしまいます。

これを利用して放射温度計のレンズの埃避けに使うアプリもあるほどです。

 

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ところがこの写真のようにフィルムに対し鋭角に放射温度計をセットすると、

擬似的にフィルムの厚みを稼ぎ計測する事が出来るのです。

 

これこそ全方位に放射されるという赤外線の醍醐味と言えるのではないでしょうか?

実際にフィルムの製造工程では高速にフィルムは移動する訳ですから、

非接触という特性を活かした測定方法ですね!

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温度を極める!その3の3・・・放射温度計を赤外波長域から見てみよう。

前の記事で「放射温度計もしくは赤外線放射温度計として、

すでに数多く市場で使われている温度計です。」と書きました。

この赤外線というのが大事なんですね!

科学の世界では波長域という概念を理解することで、

様々な計測・分析のアイデアや応用につながる事が期待できます。

今回はその第一歩として赤外線という波長域に触れてみましょう。

 

taikinomado

放射温度計が受光している波長域は赤外線でも遠赤外というところ。

ここは大気による吸収という影響をほとんど受けない為に、

遠くの温度まで測る事が出来ます。

この8~14μmの波長領域は「大気の窓」と呼ばれ、

赤外線エネルギー量を測定する放射温度計にとって重要な意味を持ちます。

 

ちょっと脱線しますがこの難しい波長域という考えは色々なところで役に立ちます。

それはほとんどすべての物質において特定の波長で吸収や透過をする性質があるからです。

たとえば・・・それを利用してガス中の分からない物質を特定するとか・・・

レントゲン写真なんかもX線の吸収や透過で成り立っているんですね。

この切り口はとても奥が広く面白いのですよ。

 

taikinomado1

ひとつの例として石英ガラスの吸収や透過の曲線を加えてみました。

石英ガラスは4μm以下で透過していますね。

これを放射温度計で具体的に表現すると・・・

「窓越しに遠くの景色は見えていますが、放射温度計が示している温度は

窓ガラスの温度になります。」です!

可視光は透過しても遠赤外光は通さないのですよ。

 

この現象を身近なところでも起こり利用されています。

 

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太陽の光が差し込む明るいハウスがそうですね。

可視光を含む範囲の広い波長の太陽光で暖められた地面からは遠赤外が放射されますが、

ガラスにより遮断されているためにハウスの中の温度は高くなります。

 

夏の車の中も同じですね・・・

ダッシュボードやシートが暖まり遠赤外を放射しますが、

ガラスで遮られるために内部は異常に高くなるのです。

もし透過するガラス系の物を使えば中はそれほど暑くなりません。(コストが合わないけど・・・)

 

そうそう、そのガラスも全波長域で見てみるとマイクロ波の波長域でまた透過が始まります。

つまり、通す通さないは全波長域では様々なんですね。

 

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例として電子レンジでガラスが使われているタイプがありますが、

温めるために使う波長のマイクロ波はガラスを透過します。

それはとても危険なのである対策がしてあるのですよ。

 

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皆さんご存じのこの小さな穴の空いた金属の網です。

マイクロ波はその波長より小さな穴を通り抜けられないという特性をもっています。

もし、これが無いと・・・

台所にあるレタスやリンゴ、花瓶の水などが温められてしまうことになります。

 

参考:一般的に電子レンジの周波数が2.45GHz帯とすると波長は約12.2cmです。

 

ちょっと難しかったかもしれません。

すこし脱線してしまいましたが次回は放射率と透過レンズに関して書く予定です。

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温度を極める!その3の2・・・放射温度計はカメラと似ているのです。

すべての物体は赤外線を放射しています。

放射温度計はその放射エネルギー量を検知することで温度を知ることができるのですが、

これを勘違いする方も多いのです・・・。

 

housyaring2

一部の放射温度計で計っている場所の特定をするために、

レーザーマーカーを照射するタイプがあります。

赤外を集光するレンズの左右に小さな穴二つ・・・

これがレーザーマーカー部です。

 

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計るときに測定面にピンクの光点が分かりますね。

写真の場合、ピンク色の2点のレーザーポイントを直径にした

オレンジの円の中の平均温度を測ることになります。

おそらく、この機能によりレーザー光を利用し

計測していると勘違いする方がいたのだと推測しています。

 

housyarenzu2
これも知らない方が多いかな~と思い描いてみました。

主な放射温度計には視野角があります。

大きな分類として2つのタイプ。

距離が離れるとひたすら広い範囲を計測するもの。

一度、焦点を結びその後広がるタイプのものとなります。

後者は顕微鏡のイメージですね。

右の方にそれぞれの得意な計測用途例を書いてみました。

 

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放射温度計と熱容量との関係も重要ですね。

接触式の温度計ではセンサ自体に熱容量があるので、

計りたい物の熱を奪ってしまう/与えてしまう事例です。

焦点を結ぶタイプでは小さな基板上の部品の温度測定が代表的です。

また、薄く熱容量の小さな葉・紙・フィルム等の温度を計測する場合などにも使われています。

 

少し非接触で計るというメリットがおわかりいただけたでしょうか?

 

資料:タスコジャパン殿

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