温度を極める!その4の1・・・ヒートブリッジを考える
ヒートブリッジという言葉はご存じだろうか?
温度に携わる僕はこれを多用することで計測に応用したり装置を作ったりしています。
まさにヒートブリッジを制する者は温度を制すなのであります。
もともと・・・ヒートブリッジ(熱橋)とは建築用語。
外壁と内壁の間にある柱などが熱を伝える現象のことなのです。
初めて知ったのがハウスメーカーさんとの仕事なんですが、
これを計測の世界に持ち込んでみました。
どんなものかというと上の図から解説しましょう。
箱に温度センサを差し込み温度を計測する場合、
外部温度がセンサを通じて熱伝導し誤差を生じる事があります。
センサに使われている導線が熱伝導の良い銅が使用されているので、
温度差が大きければ影響も大きいのです。
もちろん・・・センサカバーの金属筒からも伝わります。
これをキャンセルする方法が次です。
このようにしてセンサを中に入れて熱切りをします。
(ヒートブリッジ⇔熱切りという言葉は相反関係なのでぜひ覚えてくださいね!)
さらにケーブルを丸めて距離を稼ぐのです。
僕は丸めるケーブルを熱交換すると呼んでいるんですね。
正確な温度を知るには必須の工夫だと思います。
さて、これを装置に応用したのがこちらです。
これは福井大医学部・腫瘍病理学領域 三好憲雄先生と一緒に開発したセルです。
詳しい内容はこちら
がんの早期診断技術に必要な超薄型鮮度保持サンプルホルダーの構造ですが、
わずか1mmの空間の温湿度制御を可能にした世界一薄い恒温恒湿槽ですね。
構造上は・・・上部の蓋に温度を与えることが出来ないため。
ヒートブリッジを使い恒温空間を作り出しました。
贅沢に銅より熱伝導の良い銀を柱にしております。
こんな使い方も出来るんですよ・・・
今回はヒートブリッジに関して簡単に述べましたが、
次回は熱流を深く語ってみようと思います。
第一科学 温湿度マイスター 武田