温度を極める!その3の1・・・放射温度計とは?
放射温度計とは・・・
放射温度計もしくは赤外線放射温度計として、
すでに数多く市場で使われている温度計です。
(普通の家庭で使われているは耳式体温計もそうです。)
放射温度計とは
すべての物体は赤外線を放射しています。
この放射される赤外線の強さ(エネルギー量)は温度が
高くなるにしたがい増加しますので、その放射エネルギー量を検知することで温度を知ることができます。
このような原理から「(赤外線)放射温度計」と呼ばれます。
今までの温度センサーとは原理が違うので正しい使い方を知るとかなり応用できます。
この温度計のおもしろさを表す意味でも2問ほどクイズを出しましょう。
まずはビルの上から放射温度計を空に向けてみます。
さて・・・この時、放射温度計は何を計っているでしょう?
さらに何度ぐらいを示すと思いますか?
答えは・・・
上空の大気の温度です。
これを計ったときは7月だったのでまだ暖かいですね。
-14.7℃という値になりました。
これが冬になりますといわゆる寒気団になるので、
-40℃以下になることもあります。
つまり、放射温度計は理論的には無限大の距離の温度を取ることが出来ます。
面白いですね。
これに近いイメージの物はカメラと同じだと言うこと・・・
カメラで景色を撮すと遠くの山々まで写りますよね。
そう、これと同じなんです。
お次は手の温度に関する質問です。
手の温度を放射温度計で測るのですが、
どこの部分が一番高い温度を示すのでしょう?
答えは・・・
なんと指先の爪の部分です。
答えを分かりやすくするために放射温度計と同じ原理の赤外線サーモグラフィで撮ってみました。
白くなっている部分が一番温度が高いという事が分かります。
(個人差があり血行がいい人は違う場合もあります)
この理由も興味深いですよ。
体や手には無数の汗腺があって体温調節を行っています。
つまり、汗が気化することによって熱を奪う作用ですね(気化熱・蒸発潜熱)。
ところが爪にはこの汗腺が無いために、
表面温度が高いのでありますよ。
なかなか面白いでしょう?
この様に放射温度計はいろいろな計測に応用できます。
次回はもう少し深く放射温度計を解説いたしますね。
説明:安立計器殿より
写真:タスコジャパン殿/オプテックス殿より