温度を極める!その2の1・・・温度センサの種類を原理から考えてみる。
昨今、パソコンとデーターロガの発達により誰もが気軽に温度計測が行えるようになりました。
でも、温度センサの種類を間違えたり誤差要因(計測ノウハウ)を知らないと、
全く違う結論に結びついたりもするのです。
その為に温度センサの種類を解説する事は比較的簡単なのですが、
少し掘り下げてその原理から紐解きたいと思います。
それにより温度計測がより正確により効率的になるのは間違いありません。
これは僕がキャンプで愛用している温度計。
センサが2本あって外とテントの中の温度を比較する重宝な道具であります。
このセンサがサーミスタなんですね。
サーミスタ
金属酸化物を主原料とし高温にて焼結されるセラミック半導体で、
その製造方法、構造によって各種の形状・特性があり、
温度センサとして各種温度測定、温度補償用など幅広い用途に対応できます。
防爆用のケースに収まっているのでちょっとごついです。
普段はもっと細く短いタイプを愛用しています。
白金測温抵抗体
検出部に用いる金属材料には、温度と抵抗の関係が一定であること、
耐食性に優れ経年変化が少ないこと等の理由から白金(Pt)が多く用いられています。
温度に対する抵抗値変化(感度)が小さく、熱電対に必要な基準温接点が
不要なため常温付近の温度測定に有利です。
熱電対は先端を圧着溶接してあります。
半田で付けては誤差になるので使ってはダメですよ。
熱電対
熱電対の温度センサは「2種類の異なる金属で閉回路を形成した時、
2箇所の接合点に温度差が生じると起電力(電圧)が生じる」という原理を利用したものです。
熱電対は次回に解説することにして、
温度に対し電気抵抗値が変化するサーミスタと白金測温抵抗体の原理から入りましょう。
サーミスタはこれも2種類に分かれます。(計測に使われるタイプ)
・NTCサーミスタ
NTCサーミスタは温度の上昇に対して抵抗が減少するサーミスタです。
・PTCサーミスタ
PTCサーミスタはNTCサーミスタとは逆に温度の上昇に対して抵抗が増大するサーミスタであす。
今回はNTCサーミスタと白金測温抵抗体の温度-抵抗特性を同じグラフ上で表してみました。
左の抵抗値のグラフは縦軸が片対数になっています。
すなわち下から10Ω・100Ω・1000Ω・10000Ω・100000Ωの目盛りですね。
これは10Ω・100Ω・1kΩ・10kΩ・100kΩと表せます。
サーミスタに対し白金測温抵抗体の電気抵抗値の変化が小さいですね。
計測器を設計する方から言えば電気回路的に直進性に優れているので、
より精度を出すことが出来るです。
サーミスタは桁が10のn乗で変化するので、デジタル回路による処理が必要になります。
安価な温度計に採用される理由はこの原理から来るのですね。
もちろん精度を出すことも出来ます。
身近なところでは体温計ですかね・・・
36℃で値付け(校正)すればその前後では0.1℃程度の精度が可能なのです。
そうそう、昔・・・こんなユニークな方に会いました。
貴金属会社から白金を数10㎝購入しその両端の抵抗を100Ωに合わせます。
それを素線のまま綱渡り状態に空中で張っていました。
何の目的かというと・・・空気温度の超高応答性のセンサを自作していたのです。
普通はセラミックの板に巻き付けたりするので、
セラミック部分の熱容量をキャンセルできるんですね。
原理を知り尽くせばこんな事も実行できるのが素晴らしいのです。