温度を極める・・・お薦めの食品向け温度計について語る
11月に新潟の日本酒ソムリエの方と話す機会がありました。
その時に飲んだ日本酒は色々とありますが・・・
1年ほど違う環境で保存した同じ銘柄の日本酒を利き酒してその違いに驚いたのであります。
①ひとつは地中のトンネルのような温度が安定していると思われる場所。
②もうひとつは酒蔵で温度が安定しているのですが人の出入りは少なくともある場所。
この保管だけの違いで素人でも分かるぐらい味が違っていたのです。
・・・もちろん、まろやかで美味しいのは①の方でありました。
今回はこの違いに関しての推測を行い、
食品で使用するのに適した温度計の紹介をしたいと思います。
経験的に言えば温度が安定しているという事は、
実はとても奥が深い状態を示すのですね。
この計器は気象庁や産業総合技術研究所などで使われている温度の標準器です。
かなり大きなものですが・・・
温度表示が小数点以下10桁まで表示するのですね。
つまり、23.0012579634℃という感じです。
これにつながれている温度センサは太さが10mmほどあります。
これほど太いと温度の感度が低いと思っていたのですが、
手を団扇のように煽ってみると・・・
下の5桁ぐらいがパラパラと体温を感じてか変化するのですね。
これには正直びっくりしました。
ここで何を言いたいかというと、
温度の変化というのは思っていた以上にあるのだと言うことです。
みなさんがお使いになっている温度計で小数点以下が表示しないものや、
小数点一桁のものでは本当の変化は見ることが難しいのであります。
さて、次に最初に書いたお酒の状態を推測してみます。
通常、一升瓶のお酒の量としては1.8㍑になります。
これもメートル法により正確には1.803 906 837 リットルだそうです。
温度もそうですが小数点以下って凄いです。汗
これだけの熱容量を持つ物が温度変化が頻繁に変化する可能性は少ないので、
この絵のような予測をしてみました。
気温の変化、輻射熱、物体からの熱伝導、太陽光、エネルギー波。
酒蔵から見ると太陽光と物体からの熱伝導はまずは考えられないので除外します。
残るは気温の変化と輻射熱が1番有力でしょう。
電球、ストーブ、人の体からも輻射熱は出ているので・・・
その赤外線が瓶の表面の温度を変えるという可能性はゼロではありません。
瓶の表面から伝わった熱がガラスの縦方向に差が出た場合や、
瓶の表面から伝わった熱が中心のお酒と横方向に差が出た場合、
一升瓶の中身であるお酒が部分的に対流を起こしたのではと推測したのであります。
ゆっくりではあるのですがこれがお酒の風味に影響を与えた理由ではないでしょうか?
1年もの歳月が蓄積した結果かも知れません。
小数点以下の僅かな温度差でも原理的には対流は起こるのです。
最後に電波や電磁波などのエネルギー波による影響ですが・・・
これを避ける為に電波暗室で温度研究をしている方は
極低温域だったと聞いたことがあるので割愛いたします。
これは過去の記事を読んで頂きたいと思います。
温度センサの方式で選択するのが1番重要です。
このグラフのように熱電対方式は×ですね。 →過去記事
熱電対自体がノイズを拾ってしまいます。
白金測温抵抗体がベストですがコスト面からは高額製品が多いようです。(愛用機)
その中の僕のお薦めはサーミスタ温度センサだと思います。
一般的にサーミスタは安価向けで精度が悪いという認識があるのですが、
温度範囲が狭い領域では良い特性が得られます。
0.01℃表示で酒蔵・倉庫などの温度域で使う場合、
5万円ほどで買うことが出来ます。
パソコンなどにログなどを落とし記録も出来る物もあるので、
温度幅を拡大してみると見えない物見えてくるのではないでしょうか?
その他、温度計で内部演算などで応答性が遅くなっているものも向きません。
推奨製品は写真を使用する許可が得て無いので興味ある方はお問い合わせくださいませ。→こちら