株式会社第一科学

湿度の計算2

飽和水蒸気圧は、前回ご説明した計算式を使用することにより算出できますが、かなり複雑な計算式ですので今回は、JIS-Z-8806に記載されている飽和水蒸気圧表を使用し、湿度の計算を行います。

下の表は飽和水蒸気圧表の一部を抜粋したものです。JISには-100℃~+100℃の範囲において、0.1℃刻み、150℃~374℃の範囲では1℃刻みにて表記されます。また、この飽和水蒸気圧表は、水蒸気圧が水の状態、氷の状態、過冷却の水の状態、この3種類の表がありますので、使用する場合、その状態に応じ使い分けることが必要です。

過冷却の状態とは…

  • 普通、水は0℃以下になると氷結し氷の状態となりますが、冷却する課程によっては0℃以下でも水の状態のまま存在することがあります。極小さな面、清浄な面を急激に冷却した場合等にこういう現象が現れます。その時の状態を過冷却の水の状態といいます。

水の飽和水蒸気圧表(Pa)

温度(℃) .0 .2 .4 .6 .8
0. 611.21 620.15 629.21 638.38 647.67
2. 705.97 716.13 726.41 736.83 747.38
4. 813.52 825.03 836.69 848.49 860.44
6. 935.31 948.34 961.52 974.86 988.37
8. 1072.9 1087.6 1102.5 1117.6 1132.8
10. 1228.1 1244.7 1261.4 1278.4 1295.5
12. 1402.8 1421.4 1440.2 1459.3 1478.5
14. 1598.9 1619.8 1640.9 1662.3 1683.9
16. 1818.7 1842.1 1865.8 1889.7 1913.8
18. 2064.7 2090.8 2117.2 2143.9 2170.9
20. 2339.2 2368.4 2397.8 2427.6 2457.7
22. 2645.3 2677.7 2710.5 2743.7 2777.2
24. 2985.8 3021.8 3058.3 3095.1 3132.3
26. 3363.9 3403.9 3444.3 3485.2 3526.4
28. 3783.1 3827.4 3872.2 3917.4 3963.1
30. 4247.0 4296.0 4345.5 4395.5 4446.0
32. 4759.7 4813.8 4868.4 4923.6 4979.3
34. 5325.2 5384.8 5445.1 5505.9 5567.2
36. 5948.1 6013.7 6080.0 6146.9 6214.4
38. 6633.1 6705.2 6778.0 6851.5 6925.6
40. 7385.3 7464.4 7544.3 7624.8 7706.2
42. 8210.0 8296.7 8384.1 8472.4 8561.5
44. 9112.9 9207.7 9303.4 9399.9 9497.3
46. 10100. 10204. 10308. 10414. 10520.
48. 11178. 11291. 11405. 11520. 11636.
50. 12353. 12476. 12600. 12725. 12852.

例)20.4℃の飽和水蒸気圧は2397.8Pa

相対湿度から露点温度を求める

相対湿度から露点温度を求める為には、その求める気体が何℃、何%RHなのかが解らないと求めることができません。必ず温度を確認して下さい。手順としては、まずその気体の水蒸気圧を求め、その水蒸気圧に相当する飽和水蒸気圧を表より導きます。

例) 温度20℃、相対湿度40%RHの気体の露点温度を求めます。

  • 温度20℃の飽和水蒸気圧を表より導きます。
    20.0℃→2339.2Pa
    これは、20.0℃で相対湿度100%RHの時の水蒸気圧です。
  • 相対湿度40%RHの水蒸気圧をもとめる。
    前回の相対湿度を求める計算式より、
    U(%RH) = 
    e
    es
    ×100
    e(Pa) = 
    U
    100
    ×es = 
    40
    100
    ×2338.1 = 935.68(Pa)
  • この求めた水蒸気圧に近い値を飽和水蒸気圧表より探します。
    6.0℃→935.31(Pa)
    6.0℃の時の飽和水蒸気圧が近似値ということがわかります。

この6.0というのがもとめる露点温度です。つまり、この問題の気体は6.0℃まで冷却することにより相対湿度100%RHになる、露点温度に達するということになる訳です。何度も繰り返しますが、露点温度というのは、その気体が何℃になれば相対温度が100%RHになるのか、水蒸気圧が飽和するのかを示す値です。逆に考えますと気体の温度が変化しても、外部からの加湿、除湿が無く、圧力の変動も無ければ露点温度は温度に影響されず一定であるということです。

露点温度から相対温度を求める

手順は前の例題の逆手順です。注意することは、何℃における相対湿度を求めたいのかを確認することが必要です。

例) 露点温度6℃の気体の20℃における相対湿度を求めます。

  • 露点温度6℃における飽和水蒸気圧を表より導きます。
    6.0℃→935.31(Pa)
    この935.31(Pa)がe(水蒸気圧)となります。
  • 計算式へ代入します。
    U(%RH) = 
    e
    es
    ×100
    この計算式の es は、20℃における飽和水蒸気圧を示します。
    20.0℃→2339.2(Pa)
    U(%RH) = 
    935.31
    2339.2
    ×100 ≒ 40.0(%RH)
    従って、求める相対湿度は40%RHであることが算出できます。