技術情報

湿度のあれこれ

乾湿計2(アスマン通風乾湿計)

前回説明しました乾湿計の中でも、比較的正確に測定できる湿度計がこのアスマン通風乾湿計です。
空調業界等では今でも湿度計の基準器として使用され、またJISの中においても具体的に詳細が記載されている測定器でもあります。
ここでは、簡単に構造を説明します。

アスマン通風乾湿計の構造

アスマン通風乾湿計は、乾球、湿球温度計共に円筒状のガラス製水銀二重管温度計を使用し、湿球温度計のガーゼには専用のスポイトで水を与えます。
ぜんまい仕掛け、またはモーター式の通風装置(ファン)によって金属製の二重円筒(通風筒)の内側に強制通風を行なうことにより乾湿球温度を指示させます。
携帯に便利で、日射の影響を防ぐ構造となっており、屋外での使用もでき、最近では、ぜんまい仕掛けだと十分な風速を得ることができない、測定に必要な時間(温度の安定する時間)の通風ができない(途中で止まる)等の問題があり、電池にてファンを作動させるタイプが多くなっています。

相対湿度の算出は、乾球温度、湿球温度を読み取り、次の3通りの方法で求めます。
 (1) 換算表を使用
 (2) 計算により算出
 (3) 湿り空気線図を使用

(1) 換算表はJIS Z-8806に記載されています。製品によっては簡易型のダイヤル式換算スケールとして添付されているものもあります。
但し、換算表の乾球温度は1℃刻みにて表記されていますので、正確な相対湿度を求めるには面倒でも次の計算式にて算出する方が良いといえます。

(2) の計算には、次のSprungの公式を使用し、算出します。

<Sprungの公式>
この公式を使用する場合、湿球感温部が氷結しているか、していないかで公式中の定数Aが変わります。
e=e's-A×P×(t-t')…[1]式
 e :求める水蒸気圧(Pa)
 e' :t'℃に置ける飽和水蒸気圧(Pa)
 A :乾湿計係数(K-1)
    湿球が氷結していない時 0.000662
    湿球が氷結している時  0.000583
 P :大気圧(101325Pa)
 t :乾球温度(℃)
 t' :湿球温度(℃)

※水蒸気圧、飽和水蒸気圧は同じ単位を使用すること。

この[1]式で水蒸気圧eを算出し、次式へ代入し、相対湿度を求めます。

相対湿度
相対湿度の式

※es:t℃における飽和水蒸気圧(Pa)

乾湿計の種類

乾湿計(乾湿球湿度計)にもいくつかの種類、呼び名があり、JISの中にも一部取り入れられています。

  • 水銀温度計式乾湿計
    ・アスマン通風乾湿計
    ・気象庁形通風乾湿計
    ・WMO(世界気象器機関)基準乾湿計
  • 試験装置設置型通風乾湿計
    ・白金測温抵抗体、熱電体を温度計とした隔測通風乾湿計
  • 簡易乾湿計(板付き乾湿球計)

その他、色々な乾湿計が市場に出回っており、中には乾球温度、湿球温度から相対湿度、露点温度、絶対湿度等を自動的に演算する機能を装備させた計測器を製造しているメーカーもあります。

【ポイント】

乾湿計の注意点

  • 湿球の凍結により、正確な測定が困難な場合がある。
  • 最低必要風速を忘れない(2~5m/sec)
  • 温度が安定するまで待機する必要がある。(0℃以上では5分程度)
  • 空気温度の測定方法に注意する。(放射、体温などの影響を受けない事)
  • ガーゼ、水の取り扱いに注意する。
  • 正確な湿度を求めるには計算式に値を代入し、算出する方法が望ましい
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