株式会社第一科学

相対湿度と露点温度

今回は、図を使って相対湿度と露点温度をまとめてみます。(この図中で使用している数値はわかりやすくする為に簡素化しています。)

まず、一つの容器をイメージして下さい。今、この容器の半分の位置まで水が入っているとします。この状態を相対湿度で表現してみて下さい。
この容器の容積を100とした場合、水の占める割合は50、つまり半分となります。従って、相対湿度は50%RHとなります。

ここで、この容器に入れられている水を別の容器に移し替えていきます。

はじめの例に従って、各々[A]~[C]の状態を相対湿度で表現してみます。

[A]は容器の全体容積100に対し、水の容積は 50… 50%RH
[B]は容器の全体容積100に対し、水の容積は 75… 75%RH
[C]は容器の全体容積100に対し、水の容積は100… 100%RH

それでは、ここで言う容器、水とは何を表すものでしょうか。
湿度を表現する場合、前に述べたように水蒸気圧を考えます。ある決められた容器の中の水蒸気圧がどれくらいあるのか、その水蒸気圧がどの容器の大きさで飽和状態となるのか…ということです。
この図で水として表されている部分が水蒸気圧であり、容器いっぱいに水が満たされてる状態を飽和状態といいます。
それでは、容器の大きさというのは何を意味するのでしょう。前記の図の容器は、相対湿度を表現するために必要な温度を意味します。つまり、同じ水の量(水蒸気圧)のままで、温度を下げていく(容器を小さくしていく)と、ある温度(ある容器の大きさ)において水がいっぱいになります。図の例ですと[C]の状態、これが飽和状態であり、相対湿度が100%RHとなります。
そして、この時の温度(容器の大きさ)を露点温度と呼びます。

ポイント

  • 水蒸気圧の変化が無い条件で、温度のみを変化させると相対湿度も変化する。
  • ある温度において、相対湿度100%RHということは、その温度がその空気の露点温度ということである。
  • 水蒸気圧の変化が無い条件では、露点温度は温度による変化は無い。

先程の図を使って、具体的な数値を例として以下に示します。

※30℃、50%RHの空気の露点温度は18.4℃である。つまり、上記の条件では、18.4℃以下に温度を下げると、結露現象が現れるということです。

前回の問題の解答

  • 答え: A

    定義では、気体の中に気体の状態として存在する水蒸気…と述べています。
    Bの部分は湯気、つまり水分が水滴として現れています。
    Cの部分は、見た目には気体の状態(湯気が見えない)ですので、正解としてもいいのですが、やかんの口から湯気が吹き出している状態ですので、水分が気体の状態なのか、水滴(湯気)の状態なのか判別が困難です。(その他いくつかの問題はありますが…) この問題は、湿度の定義を判って頂くためのものなので、難しいことはあまり考えず、単純に気体の状態、Aを正解とします。

  • 《チョット一息》

    人が1日に吸い込む空気の重量をご存じですか?
    約12~13kgの空気を吸い込んでいるそうです。空気12kgというのは、0℃で比較的乾燥した状態で約10m3、3畳敷きの部屋位の体積となります。
    例えば、25℃、60%RHの空気を1日吸い込んだとすれば、どれ位の水分を吸い込んだことになるでしょう。
    25℃60%RHの空気1kgには、約0.012kgの水分が含まれています。(これは…そう! 混合比ですね)
    0.012kg/kg×12kg=0.144kg=約150ccとなります。