温度を極める!その4の3・・・熱流は「ああ~♪川の流れのように~」

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熱流を体感できるのは熱流センサだけではありません。

温度勾配を見ることでおおよその熱流を知ることが出来るのです。

しかし、それにはグラフが必要。

スケーリング変更が出来る温度のトレンドグラフは必須になります。

 

今回は熱流を川の流れにたとえて説明をしますね。

題して・・・「ああ~♪川の流れのように~」であります。

熱流は川で言うと急流から清流までをイメージしています。

高低差が一番重要で熱流密度Q(W/m2)の式・・・

Q=(λ/d)・⊿Tからすると⊿Tが該当します。

 

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温度変化を35℃から15℃安定まで変化させたグラフがこちらです。

最初の15分程度で熱流が一番大きく流れます。

 

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次のグラフが熱流の中の状態。

温度差が小さくなると熱流量も小さくなることが分かりますね。

45分あたりで3~3.5℃の変化量です。

 

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さらに熱流が小さくなると・・・

1時間あたりで0.3℃の変化量です。

まさに川の流れのようであります。

 

さて、ここの重要点はひとつです。

 

仮にもっと早く温度を達成させようとして、

冷凍機やヒーターの能力を大きくしても変化量の大きいのは最初の熱流大の時間が短くなる傾向。

温度変化量が小さい場合はあまり改善されません。

しかも温度変化が一番小さい部分は時間も長いのです。

 

このグラフでは0.1℃以内の安定状態まで2時間かかっているので、

冷凍機やヒーターの能力を大きくしても10分程度短くしかならないことが予想されます。

 

熱流密度の式から言うと熱伝導の改善と熱流の面積を増やすのが重要なのです。

温度の道も険しいので・・・

温度標準の0.01℃安定までの時間はさらに長くなります。

 

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熱電対などで計ると表示は小数点以下1つ程度。

1時間あたりで0.3℃の変化量などは判断できません。

そこでこのような白金測温抵抗体の温度計が必要になるのです。

***高精度デジタル温度計仕様例***

センサ:3線式及び4線式温度センサ(Pt100)に対応

精度: ±0.01℃(4線式)、±0.05℃(3線式)

分解能: 0.001℃  測定範囲: -200℃~+850℃

 

ちなみに0.02℃安定の世界では4時間~6時間必要だったというグラフがこちら!

気象庁の温度校正器を作ったときのデータであります。

 

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そうそう、分解能の高い温度計のメリットとしてはもうひとつありました。

小数点以下2~3桁に着眼すると・・・

温度試験などの結果が早く予想が付きます。

目に見える変化量は貴重と言うことですね!

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温度を極める!その4の2・・・熱流を考える

 

前回はヒートブリッジに関して書きましたが、

これは熱が伝わるという現象です。

ところで・・・そもそも熱って何でしょう?

 

世の中の物質はすべて分子と原子からできていますね。

それらの分子(原子)はすべて乱雑な運動をしています。

この運動エネルギーの大きさが熱の大きさ(温度)になっているのです。

 

つまり分子(原子)のブルブルが温度であり、

温度はブルブル量にセルシウス温度(℃)と絶対温度(K)という目盛りを付けたものとなりま。

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ここで熱流という考え方を書きたいと思います。

熱流は温度のブルブル量を川の流れのように捉えたものです。

この流れの量を計る方法があるんですね。

 

熱流は、平面状微小熱抵抗体を熱流(熱エネルギー)が貫通するとき、

熱流の大きさに比例した熱抵抗体の両面に生じる温度差を検出することによって測定できます。

上図のように、放熱面に熱伝導率λ(W/mK)、厚みd(m)の薄い板を取り付けたとすると、

定常状態に達してからのちにこの薄い板を貫通して流れる熱流密度Q(W/m2)は次の式で求められます。

 

Q=(λ/d)・⊿T
この式から熱伝導が良い物と温度差があった方が熱の流れが大きく・・・

熱伝導の悪い物と厚みがある方が熱の流れが小さくなることが分かります。

さらに熱流密度Qの単位はW/m2なので流れる量は面積が多いほど大きくなります。

ちなみに真空は熱伝導率がゼロ・・・

これは熱を伝える分子(原子)がないからであります。

真空断熱のポットのお湯が冷めにくいのは原理によるものだったのですね。

 

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熱流計で計るという事はどんな評価に使われるのでしょうか?

断熱材の評価に使われるのが一番有名になります。

このほかの評価方法としては温度変化の勾配をみる方法もありますが、

直感的に分かるのがこの計測方法だと思います。

逆に熱伝導の良い物にも使われます。

車に搭載されるリチウムイオンバッテリーの放熱構造でも活躍しそうですね。

 

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もう一つ面白いのが、熱流センサに表と裏があることです。

これにより発熱と吸熱という温度の流れが分かります。

温度計測の経験値を積めば発熱と吸熱は感覚的に判断出来ますが、

視覚的にわかりやすい使い方だと思います。

寒冷地試験など自然と相対する試験では使ってみたい気がしますね。

 

絵:日置電機株式会社殿熱流ロガカタログより

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