株式会社第一科学

低露点の計測技術

ドライルームにおける計測ノウハウ

最近、携帯電話などの電池製造の過程で、ドライルームでの低露点水分計測の要求が高まっています。測定にはいくつかのポイントがありますが、このレポートではその具体的な事例を延べ提案を行ないたいと思います。

低露点計測における測定時間に関して

  • 鏡面冷却式露点計は湿度のJISにおける標準湿度計として位置付けられており、湿度計としては最高精度が期待できます。表示は露点温度を表示する他、雰囲気測定用の温度センサから演算による他の湿度パラメータの表示も可能です。鏡面の温度を計測する原理から、温度センサはミラー下部に収納されている為、直接雰囲気に晒される事がありません。したがって長期に渡り経時変化が少ないデータを得ることが出来ます。

    光学系回路とペルチェ素子を使用しミラー温度をコントロールしています。ペルチェ素子の温度応答に関しては、2℃/1秒の温度応答性能はありますが、低露点測定においては下記の注意点があります。

    • 測定露点温度付近ではPID比例制御により温度変化幅は小さくなります。
    • 低露点鏡面冷却式露点計(S-2型)の冷却能力限界付近では温度変化幅は小さくなります。
      (測定露点が冷却限界能力以下の場合はCOOLキーを押す事で、変化しなければ冷却能力限界と判断することが出来ます。)
    • センサ部にサンプリングする前の配管等の材質内に、装置稼動時に水分が含まれている場合があります。この場合、測定安定後に徐々に露点は変化します。配管の水分の抜けは、材質並びに長さにもよりますが、数時間から10時間以上かかる場合もあります。
      (配管材質はSUS、もしくはテフロンを推奨します。ゴム、ナイロン系などは水分を 透過してしまいます。)
    • -60℃近辺の低露点計測では気体に含まれる水分の量が非常に少ないため、氷結する為には著しく時間がかかります。氷の育成に要する時間は数時間が目安となります。

低露点計測におけるACCU機能に関して

  • 鏡面冷却式露点計のACCU機能は次の効果があります。

    • 発光ダイオードとフォトトランジスタで構成される光学回路のオフセット調整を行います。これは経時変化や部品劣化をキャンセルする為のものです。
    • ミラー面を一度、強制結露させ、次に蒸発させる温度プロセスにより、鏡面の付着した埃などを浮遊、集結させる機能。これにより鏡面の反射面積の保持を行います。通常のミラーの綿棒とアルコール水による清掃回数を減らす効果があります。

    通常の露点計測域では有効な機能ですが、低露点測定ではACCU機能は使用できません。

    ACCU機能が使用できない理由

    前項でACCU機能は強制結露させると事と書きましたが、その理由はガス中に含まれる水分量に関係があります。絶対湿度で比較すると下記の関係がわかります。

    露点温度 25℃DP 絶対湿度23.01g/m㎥
    露点温度 0℃DP 絶対湿度 4.44g/㎥ 25℃における水分量との比較 約5分の1
    露点温度‐30℃DP 絶対湿度 0.30g/㎥ 25℃における水分量との比較 約77分の1
    露点温度‐60℃DP 絶対湿度 0.01g/㎥ 25℃における水分量との比較 約2301分の1

    ‐30℃DP以下では対数的に水分量は減少する事がご理解いただけると思います。本来は埃・塵粒子を浮遊させるためにミラー上に強制結露させる機能ですが、‐30℃DP以下では非常に水分量が少ない為、浮遊させるだけの水が得られない現象が起こります。従って、ACCU機能の次のプロセスであるミラー温度の上昇段階ですでに結露は消え、埃・塵粒子を集結できない事になります。

    低露点鏡面冷却式露点計(S-2型)ではACCU機能を解除する操作メニューが無いために自動的にACCU機能を動作させるインターバルを9999時間の設定を推奨しています。

低露点計測における鏡面冷却式露点計の寿命に関して

最後に低露点計測における鏡面冷却式露点計(S-2型)の寿命に関して述べます。

本製品では故障としてペルチェ素子の劣化が挙げられます。特に冷却能力を最大電力で使う場合、最短の故障が発生します。これはペルチェ素子の電気的劣化によるものです。すなわち、‐55℃DP以下の測定では連続運転はさけ、バッチによる測定を推奨いたします。

残念ながら故障は、連続並びに測定ポイントの変動幅などの影響があり複合的なため、寿命期間は限定できません。1年毎の定期校正を推奨しております。